消化不良にならない捕り物小説
★★★★☆
傍目には昼行灯で役立たずと思われている、うぽっぽ同心シリーズの2作目。
筋立てがうまく、文体も読みやすくてこのシリーズは面白い。
主人公と同じく、本当は実力があるのにちょっとした歯車の噛み違いで世間から疎んじられている、
という人間が事件に巻き込まれるパターンが割と多いように思うが、この本の中では4編目の「あばら一寸」がそれに当たるかな。
落ちぶれた子連れの浪人をめぐって、業物の刀のツバ・北国の大災害・西国の藩で起きた事件など様々な要因が絡んで物語を展開する。
その話の収束の仕方もうまい。
各編とも、捕り物小説にありがちな消化不良的な解決方法にならず、納得して読み終えられる点も良い。