Hawesのピアノは、軽いようで軽くなく、巧いのに技をひけらかすこともなく、何とも不思議なノリです。でも、しっかりスイングしているので、何かしながら聴いていても、体が軽くなり、嬉しい気持ちになってきます。
　ころころ転がるHawesのタッチ、聴いていて自然に心に染みてきます。心地良さは生成の布、名乗るほどでもないけど美味しい田舎の山の水といったところでしょうか。The Trio三部作の中で、私もこのワニが一番美味だと思います。

ハンプトン・ホーズは、Ｔｈｅ　Ｔｒｉｏというシリーズで３枚のアルバムを吹き込んでいますが、" The Trio / Everybody Likes Hampton Hawes, Vol. 3 "がシリーズのラストです。"ワニのアルバム"と言われて親しまれているご機嫌な一枚です。

私のお気に入りですが、ホーズ的な乗りのバラードの"Somebody Loves Me"と"Billy Boy " 、それに太いサウンドで情感の溢れるラブ・バラードが素敵な"Embraceable You "、です。
でもやっぱり、最高のお勧めは、アルバムのラストを飾る"Coolin' the Blues"です。粘っこいHampton Hawes独特のタッチが、このブルースを超ご機嫌なTuneにしています。

このアルバムはvol.1からvol.3までのうち３番目の作品。ワニが楽しそうに音楽を聴いているジャケットが大変かわいいです。ハンプトン・ホーズの弾くピアノはブルース感にあふれ、さらにスイングしていて、聞いていて楽しくなります。例えば「恋人よ我にかえれ」という曲は、始めは胸が切なくなるほど美しいピアノとベースラインで、途中から「まだまだ終わらないよ！」といわんばかりに、歯切れ良いドラムと共に一気にスイングするんです。この瞬間に私はいつも鳥肌が立つ思いをしています。「黒い」粘りと「美しいメロディー」聞き終わったときにはハッピーな気持ちになります！！