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ひぐらし荘の女主人 短篇セレクション 官能篇 (短篇セレクション) (集英社文庫)

価格: ¥440
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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「色気」とは何か ★★★★☆
ミステリーとして優れているかというと答えはノーだ。ミステリー初心者の私でも充分結末が見えていた。(「彼なりの美学」を除いて)

この作品群の魅力は途中でにじみ出し、匂い立ち、密かに浮き出てくるような「色気」の描写である。例えば「花ざかりの家」では、男は妻の貴志子が家政婦として働いている屋敷の主人と不倫しているのにうすうす気がついている。そのときの描写はこうだ。「結婚当初から、どちらかというと色気とは縁遠く、少年と軽やかさと少女の無邪気さを併せもっていたような女だったのに身体の線にえもいわれぬなめらかさが加わった。体重が落ちた様子で、にもかかわらず張りつめたような眼差しには潤いばかりが増してくる。」やがて妻は謎の自殺を遂げる。

この本にいわゆる「性描写」は全然ない。しかしこれらの作品群は見事に「官能」的である。

官能的で美しい作品 ★★★★☆
本書に収められている3編とも意外な結末が待っていて、
最後まで一気に読みたくなります。
また、どの作品も犯罪との関わりがあるので、
恋愛小説の好きな方だけでなく、
ミステリ小説の好きな方にも是非オススメします。
小池真理子さんの作品を読んで初めて、
文章の中の美しさや香気というものに出会えた気がします。
とても官能的で美しい作品です。