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Procrastinator

価格: ¥1,037
カテゴリ: CD
ブランド: Blue Note Records
Amazon.co.jpで確認
過激を簡単に吹く ★★★★☆
所謂お蔵入りの作品で、録音は1967年ですがリリースされたのは10年後になってしまった。でもいい作品ですよ。メンバーからしてそう。
ショーター、ハンコック、カーターの三人がいて悪い訳ないよね。そして当時絶好調だったハッチャーソンのヴァイヴがクールだ。
楽曲はモーガンが四曲、ショーターが二曲提供してる。どちらも個性がありながら判り易い。演奏もそう。個人的にアイデアを前面に
押し出していた頃のモーガンは、何かトーンが硬くてあまり好きじゃない。でもここではひたすら心地よいのだ。
そう考えた時、やっぱモーガン以上にジャズトランペットを上手く吹く奴はいないのではないかと思っちゃう。ブラウニーも凄いけどね。
同時代だったらハバードといい勝負。どちらも抜きん出たソロパートを演出する。が、ハバードのテクニックはひたすら流麗。そこが違う。
加速すればするほどハバードのアーティキュレーションは刺激的になるけど、モーガンは逆にどんどん心地よくなる。ジャズ的観点から
みたときこれほど粋なラッパを吹けるのはやはりモーガンだけ。人によって捉え方は違うだろうけど、僕が思うにモーガンは時代のセンス
とはあまり合わなかったのではないか。彼のセンスはもっと古典的な感性と技巧に支えられている気がする。創造の前で置き忘れられた
ジャズ本来のしみじみする温もりや、心地よいスウィング感を彼は持っている。何も古いと言いたい訳ではない。現代的に吹いても
コツコツ積み上げた裏打ちがみえるだけなんだ。スタイリッシュでありながらも温和で親しみやすい彼のトランペットは誰が聴いても
楽しいだろう。ジャズトランペッターのヒーロー。それがリー・モーガン。
華々しいマイルスクインテットの影に隠れてしまった ★★★★☆
一般にリーモーガン不遇の時期とされる67年7月と69年9月の、2つのセッションを収めた作品。とくに後者は、公式に発表されているこの年ゆいつのリーダーセッションという事。録音から約10年後にカスクーナの手で発表された。

前者はセクステットで、モーガン以下ショーター、ハンコック、ハッチャーソン、ロンカーター、ビリーヒギンズという布陣。つまり半数がそのままマイルスクインテットからの起用なのである。67年7月といえば何よりもマイルスが「ネフェルティティ」の録音を続けている月。本作は何とこの狭間に吹き込まれているわけだ。

マイルスでの活動が佳境に入る時期という事もあり、ここでもとくにハンコックとショーターの音の「くせ」が著しい。これを好しとして聴くか余り好めないものとするかは聴き手しだいだろう。だってモーガンのリーダー作だからだ。
6曲中4曲がモーガン作、残りがショーター。といってもショーターやハンコックに触発されたのか、モーガン曲もブルージィというよりはショーター風のゴシック調の色合いが強く出ている。しかも幾分リラックスした「リオ」(ショーター作)のような曲でさえショーター色が濃いために一層モーガンの印象が薄くなる。残念なところだ。

肝心のソロだがハンコックがこうした曲想で活躍するのは当然のところ。ショーター然り。そして肝心のモーガンが抑制されている。ただ、こうしたセッションでもペットの音は美しい。彼の個性が前面に出てこないのがやはり遺憾なのだ。しばらくお蔵入りした理由も何となくうなずける。

後者もやはりおなじみ3管セクステット。テナーはジョージコールマン。全体に往年のアーシーさを取り戻し始めている。コールマンはモウピンと同系だが、モウピンほど暗くない。華やかと言ってもいい音なので、モーガンと相性がいい。リーモーガンを聴くならこちらの方がいいと思う。