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赤い楯 ロスチャイルドの謎2 (集英社文庫)

価格: ¥780
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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新興ロスチャイルド家の危機 ★★★★★
 第一次大戦がロスチャイルド側が仕組んだ戦争であるとするなら、第二次大戦は逆にロスチャイルド家が危機に直面した場面である、と著者は理解している。著者の理解は決して日本主義ではない。第1巻で「日本人がフィリピン、香港、中国、朝鮮半島、南ア、インドネシアをはじめとして世界の各地で何をしてきたかは、いずれ報告する」と明言されていて帝国主義日本については容赦なく批判的である。同時に続く第3巻には北海道のニッカウィスキーを愛飲していると述べられていたり農業政策の貧困を嘆いていたりする。
 しかし、文庫4巻を通して打たれている通し頁数で1715頁となる堂々たる浩瀚な書の主役である「世界一のわが親族」ロスチャイルド家が簡単に滅びることはない、とも言明されている。フランス、オランダが如何にロスチャイルド家を裏に隠しているか、いやロスチャイルド家そのものであるかということをこれでもか、と言わんばかりに。著者の関心は、単に痛くも痒くもないところでいて戦争の虐殺や植民の虐待を招いても自己の血筋の繁栄とその力学しか考えていないとしか思われない者どもを決して許さないという正義感によって貫かれていて倦むことを知らない。
大惨事の謎 ★★★★★
「IGファルベンとICIの対決、それが第二次大戦の大きな動力−エネルギーであった」
「"財閥"のあいだでの経済的な支配戦争が背後に大きく横たわっていたはずである」
「かつて相争っていたロックフェラーとロスチャイルドの通信網を駆使して立ち向かったのであるから、
ドイツ、日本、イタリアなどの即成軍事大国が勝てる道理はなかった」
「パレスチナ問題の根源は、"ヨーロッパ人"によるユダヤ人迫害にあった。このヨーロッパ人の責任が、
アラブから土地を奪取することによって中東に転嫁されたことに源がありながら、そのヨーロッパ人が口をつぐんでいるのは、
不思議な沈黙である。イスラエルを建国することは、ユダヤ人を追い出したいと思うヨーロッパの、多年の願望だったのである。
イスラエルはユダヤ人の国ではなく、ヨーロッパによって創られた国であった」
金融の世界とは。 ★★★★★
  欧州金融世界の盛衰に多大な影響を及ぼした、ある金融家とその一族を中心とした、世界に拡がる金融人脈の活動と恐ろしさがわかる。インサイダー取引など話にならないほど、金融界に血縁が蜘蛛の巣のように張り巡らされている。著者は、金融支配のユダヤ人陰謀説には安易に組していないが、ここまで人脈が濃密に張り巡らされていると、資産家というものは階級というよりも、運命共同体のように見える。