試合もラブコメ分も満足の一巻
★★★★★
■概評
多くのテニス関係者から絶賛を受ける本作品。
見応えのある試合と相変わらずのなっちゃんの可愛さ、そして味のある脇役と文句無しの一巻。
「人生を懸けた勝負だから楽しい」とは実に言い得て妙です。
■ストーリー
荒谷戦セカンドセットを主に、残りは主人公・エーちゃんのプレースタイルの研鑽のお話と、
ネットで公開されたおまけ漫画を収録。
チェンジオブペースで攻めるエーちゃんと、それに対応する荒谷の駆け引きは圧巻。
ページをめくる手が止まりませんでした。
「速く動いて強く打つ」「全ての球をコントロール出来れば負けない」
と対称的な二人だけにお互いの意地やプライドがプレーの描写に乗って伝わってくるようでした。
■登場人物
言葉や文字が少ないですが、表情や仕草で内面や心情・想いを伝えている登場人物たちは魅力十分。
優勝を決めたなっちゃんと、試合中のエーちゃんが視線を交差させる場面。
お互いにどんな想いを胸に抱えていたのかということを想像すると、本当にこの二人の関係は素晴らしいものだなと思えます。
また、主人公の友人・影山の「誰かと全力でぶつかる楽しさをあいつはテニスで見つけたんだよ」には胸が熱くなりました。
上っ面だけでなく、主人公を本当に理解しているなと感じるこの一言は本当にいいセリフでした。
加えてリアルとは少し違うと評され、完全に過去キャラと考えられていた岩佐が全く別のアプローチで出てきたのも嬉しい。
過去のライバルが使い捨てでなく、後から主人公の力になるというのは少年漫画ではありがちですがそれでも熱い展開です。
■作画
この作者さんは本能・理性エーちゃんをはじめとしたサブデフォルメが非常に上手いと思うのですがどうでしょう。
裏表紙の岩佐もいい味出してます。
■その他
巻末四コマは必見。
■総括
試合パート・修行パート共に非常の密度の濃い一巻でした。
またなっちゃんがエーちゃんのことを誇らしく語るといった一面でラブコメ分も十分にあったと言えます。
というかこれ惚気ですよね(笑)
長い試合はもちろん、短いながらもヒロインの可愛さまでしっかり詰まった一巻、文句無しの星5です。