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群雲、関ヶ原へ〈下〉 (光文社時代小説文庫)

価格: ¥1,000
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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安心して読めます。 ★★★★☆

読みながら胸がキリキリしてしまう司馬版『関ヶ原』に比べ、比較的安心して読み進められる関ヶ原小説。
その理由は
・特定の人物を主人公に据えるのではなく群像で書いてある為、多視点から流れを見ることが出来る。
・常に斜め上からの視点で、表面的には悲劇であれ、その悲劇性よりも喜劇性を強調する書き方が意識されている。
・家康が可愛げのあるキャラとして描かれている。
(特に、「関ヶ原」を「役」という言葉で表現している辺りに(少なくとも司馬氏よりは)家康寄りな筆者の視点が表れているように思います。)
といったところでしょうか?

一話一話が短く、連続性はあるものの読み切り形式に近いので、忙しくても通勤などの隙間時間に読み進めやすい。その分、マイナー登場人物の経歴紹介的な脱線や合戦後はこうなりました的な時系列の混線が頻回で、本筋が掴みにくくなっているのも事実です。

上巻で華麗に家康を向こうに回した上杉景勝が、伊達・最上を抑えながら江戸に攻め入る気満々な一方、あっけなく時間切れでなし崩し的に降伏するというのが、史実はどうなのか分からないですが、他の上杉小説と比べて出色な点。
それでも、家康を向こうに回しながら、
「俺は一体何をしようと云うのだろう?」
と云っている景勝像は何か「らしい」ところがあり、強く頷かされました。

歴史群像小説 ★★★★☆
 石田三成の挙兵から関ヶ原の合戦へと続く後半部分を収録。とにかく出てくる武将の数が多い。一度読んだだけでは消化できない。しかしこの後半分は武将の数も絞られてくるので、結果が分かっているとはいえ、面白い。武将同士の駆け引き、決戦に赴く思いなど詳細に記述されていて興味深い。しかも従来の関ヶ原ものとは異なり、公平な立場で記述しているので、東西両軍のどちらかに偏ることがない。関ヶ原の合戦におけるそれぞれの武将を立体的に活写した点は大いに評価できる。
 長編の上に二度読まないと消化できない点で星1個分減点しました。歴史小説の中でもとりわけ関ヶ原の合戦に興味のある方にはお勧めです。
人間模様の総決算 ★★★★★
打算、友情、義、成り行き、憎悪、様々な理由によって群像達の運命は関ヶ原に集約される。そこで織りなされるのもまた群像劇であり、さらにその結果が各地へと波及していく。
勝者、敗者それぞれのその後の運命まで描きながら、日本史上屈指の熱い一日に焦点を当てた本書は、戦後処理の最後で幕を閉じる。

武将の家臣達のその後まで光を当てることによって、本書はとかく家康と三成の二人を始めとする大名のみに注目されがちなこの決戦が、参加者全てにとっての一大イベントでありながら個人史の一ページに過ぎないという二つの側面を切り取って見せてくれる。
勝者でありながらその後不幸な人生をおくった者、敗者でありながら返り咲いた者、名声を得た者、失った者、それらの人間模様を後世という場所から鳥瞰しながら、著者は目を近づけて、シニカルでありながら暖かい目線で見つめている。
本書は著者の最高傑作であると共に、歴史小説を語る際には欠かせない一冊だと断言できる。
戦国好きであれば読んで損はない一冊である。