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兎の眼 (角川文庫)

価格: ¥600
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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兎の眼に映るのは ★★★★★
角川文庫の方を買いました。
読み始めに表紙を一瞥して、先生と子供たちがのんびり成長していく物語かな、と想像。

これが大きく裏切られます。

のっけから引き千切られて殺されたカエルが出てきたかと思えば
文治君が流血したり、教頭先生が問題児である鉄三君を殴り倒したり、翌日に文治君の父が職員室へ怒鳴り込んでくる
そんな姫松小学校に勤務する、本作の主人公、新人教師の小谷芙美(二十二歳)は「・・・学校を辞めたい」と呟き出すなどなど
こんな最悪最低のプロローグが読者を待ち構えてます。

" 真の教育とは何なのか "よりも" 小谷先生の気が狂ってしまわないか "に自然と関心が集中します。
以後、一般読者が小谷先生に感情移入しながら読むのだろう、と予想して幾つもの仕掛けが施されていきます。
私たちが世間一般に抱いてきた偏見(無自覚)の数々を
貧乏、蝿、居住環境、問題児、障害児、夫婦不和、偏向評価、植民地支配、朝鮮人、カラーヒヨコ、住民運動、ホームレス、養護学校、ハンスト
といったテーマで明らかにしていきます。

この一つ一つを消化していく度に、心揺さぶる声無き声が、重々しく響く。
いかに自分が傲慢あったかを、理解する努力を怠っていたかを、知らぬ存ぜぬで通そうとしていたかを、わからされます。
物語中盤での淳一君の言葉が、小さな子供の豊かな心が、私に最も強く響きました。

読了後、清清しい涙が溢れ出ました。
始まり悪い意味で、終わりは良い意味で、大きく裏切られます。必読。
再読しました ★★★★★
河合隼雄先生の考えがストンと降りてきて、やっと心が落ち着いてきた今、小学校の頃に心が震えたのを思い出し再読しました。

「考える」こと「多面的にみる」こと「愛する」ことのすばらしさ。そして負の経験の大切さを痛感しました。
心が動くようになってくると、世の中がまったく違って見えてくるものです。
テレビ世代の私にとって、世の中は白と黒しかないと思っていた青年期がありましたが、中年の今となって、やっと「割り切れる」ものはほとんどないということが分かるようになってきました。

小谷先生の家庭生活と学校生活の対比はモノやお金や数字に振り回されている私達に考えるヒントをくれているようです。
ただ、仕事も家庭も両立できる方法を小谷先生は見つけるべきだったかもしれません。
旦那さんに対しても心を使えばもっと違った方向性を見出すことができたと思います。
家族は全体性の問題ですから、自分が変われば周りも変わってきてくれますからね。
この物語には必要ない部分かもしれませんが。

灰谷さんの作品について賛否があるようですね。
作品というよりは教壇を降りて執筆している姿に批判的な方がいるということでしょうか。

彼の作品は現場の教師を続けながらではきっと書けなかったといます。
意気揚々と執筆されたわけではないと思います。辛いこと苦しいことは、心穏やかな生活の中でなければ振り返ることができなかったのではないでしょうか。

灰谷さんの優しさが、教え子だけでなく、私達にまで届いてくれたことに感謝します。
小学校1年生の長男の担任に読んでもらいたい ★★★★★
この歳までこの作品を知らなかったことを恥ずかしく思いました。

児童文学というレッテルを貼られていますがそんな枠に収まるものではありません。

カミさんに勧められて読みました。カミさんは小学校の時に先生に勧められて読んだそうです。なんて素敵な先生でしょう。

読みながらボロボロ涙が出続けました。

小学校1年生の長男の担任は読んだ事があるのだろうか。いやあるとは思えない。長男の描いた絵を評して「精神錯乱状態」と言うような人が。

長男はまだ4歳だった頃、カミさんが具合悪くて寝ていたときに、1歳の弟のウンチのおむつを換えてくれた。

本当にやさしい子なのに、そんな長男が担任に「残酷で冷血」と言われた。長男の絵を「精神錯乱状態」と言った。

小学校一年生だって深い精神世界を持っている。そのことがわかっていないで教師をやる資格があるだろうか。
子どもの偉さ、大人のやさしさ ★★★★★
先日、群馬に住む孫に会いに行った。散歩に行こうというので一緒に外に出た。孫は「じーじ、こっちこっち!」と私の手を取ってどんどん進む。孫があるおもちゃを欲しがっていることを息子から聞いていたので、「ハハーン、私をおもちゃ屋に連れて行こうとしているのだな」と看破した。外は暑い。いい加減疲れて、「お前はおもちゃ屋え行こうとしているのじゃないか!」と怒って、「ちがう、ちがう」と泣く孫を無理やり抱き上げ、汗をかきながらやっとのことで家に連れ帰った。
だが、後で息子に聞いたら、その方向はおもちゃ屋ではなく、孫が通っている保育園の道だというのだ。前から「じーじに保育園を見せたい」と言っていたそうだ。私は愕然とした。子どもの純粋な気持ちを分からなかった。
「兎の眼」を読んだのは、その直後だった。子どもは偉い、純粋だ。身をもって感じながらじっくりと読んだ。
本書には、バクじいさんという大人が出てくる。若い時に親友を裏切り、可哀そうな人を助けたつもりが、かえってみじめな結果に陥れた不条理な経験をもつバクじいさんのやさしさがある。人間の本当のやさしさは、そういう環境からしか生まれないのか?
自分はどうなのか?恥ずかしい思いがした。
刺さる ★★★☆☆
子供の頃から本好きだった私が、この有名な作品をなぜ今まで読まずにいたのか、疑問に思いながら読み始めたが、すぐ理由に思い当たった。 
 生々しすぎるのだ。
 私が物語に求めていたのはここではない別の世界であったので、何も本でまで現実のような苦しみを味わいたく無かったのだろう。

 悔しさに涙が溢れ、笑顔を得る喜びにまた泣く。
自分が兎の眼をしている事に気付く。

 はじめ、子供は大人に全幅の信頼を寄せている。先に裏切るのは常に大人の方なのだ。 全力で、見捨てらぬよう、一日でも長く信じていてもらえるよう努力せねばならない。