作品中、クンデラはこんなような事を言っています。
どんな話?と尋ねられても答えられないような作品こそが、映像化できない「小説の醍醐味」をもつ作品だ(要約です)と。
『不滅』はその言葉通り、映像化できない小説だと思いました。どんな話なのか、悔しいけれど説明すらできない。小説中の人物とそうでない人物が同時に存在し、関わりあっていないと思いきや、突然同じ場面に登場してしまう。ゲーテとヘミングウェイが、あの世で不滅とは何ぞやと語り合ったりする。自由気ままな筋でありながら、それでも一貫して!「不滅」の意味を考えつづけています。そして結末は、意外なものでした。あるいは、ああいう終わり方こそがふさわしいのかもしれません。
クンデラは面白いけれど、難しい。難しいけれど、ついひきこまれてしまう。完全に理解できるほどの知識は私にはありませんが、それでも「読んでよかった、面白かった」と言える作品でした。