ピアノもいいなァと再認識
★★★★☆
一番気に入ったのはソフトバンクのCMで一時使われていた6曲目「モンタギュー家とキャピュレット家」です。
最初は「お!この曲、なんのCMだっけ?」に関心が向かいましたが暫く聴いているとそんなこと忘れて聞き惚れていました。
彼女が今月奈良県にリサイタルに来られ、何となくチケット入手し、折角だからCD聴いてから行こうかなと全然気楽に聴いたのが良かったのかも知れません。
クラッシックの花形は確かにヴァイオリンかも知れません。
でもピアノもいいもんだなァと改めて感じました。ブーニンのような時代の寵児が不在で影が薄い気もしますがピアノこれからも聴いていこうと本作で感じました。
リサイタル楽しみです。
後日談
★★★★★
このアルバムの数年後に彼女は、N響の1639回定期(指揮:Dキタエンコ)でプロコフィエフの協奏曲3番を奏でられました。
過剰で空疎な感情表出よりも楽譜に有る事をつむいでゆくキタエンコ氏の好サポートを得て、
有名ながらも奇天烈な曲だなという印象だけで終わり勝ちなこの難曲を、透徹したフーガ(そう聴こえる事自体が驚異)や肚の座った大きな歌で魅せまくった彼女の手腕は、今以てまさしく本物です。
この協奏曲のスタンダードな名演の地位をアルゲリッチから奪っていますよ。
出産や子育てに忙しくなろうとも、今後の更なるリリースに期待してます。
商業的に無名な曲だろうと何だろうと、曲の良さを神々しく弾いていて欲しいです。
驚異的な才能とテク健在!(ソナタ以外も好演ですよ)
★★★★★
やっと出たサードアルバム♪
筆者は、遅まきながら07年の初め頃にデビュー盤を聴き、感銘を受けた。
大いに期待して聴いた。
ソロの大曲としては、デビュー盤で「知る人ぞ知る秘曲」=『チャイコの大ソナタ』を、セカンドで「標題音楽集」=「展覧会の絵」を取り上げていた。
そしていよいよ「知名度の高い絶対音楽」を披露♪
それもプロコの第7ソナタ!!
商業録音の世界では、強敵揃いの曲だ。
有名曲ではあっても、定石と言えるような解釈が出来上がっている程の超有名曲ではない。道を拓く手腕が試される。
中でも、ピアニストの持ち味が顕在化しやすのが、七拍子でジャジーに爆走する終楽章。
以下、音盤の歴戦の猛者三強が弾いた終楽章のイメージ。
機知と愉悦に満ちたグールド。
リズミカルなのに詩情が漂うプレトニョフ。
醒めた確信犯的破壊者フランソワ。
…期待が大きいと、水準程度の出来栄えではガッカリなのだが、さていかに。
うひゃ!期待以上ぉぉお!!
上原の弾く終楽章は暴力的なまでに力強い!
フランソワも暴力的だったが、校内暴力(懐)に喩えるなら、彼のは校舎の窓々を礫を投げて割りました、という視覚的な炸裂イメージが浮かぶ。
上原のはバットで1枚1枚叩き割って回るような…手が痺れるような触覚イメージが湧く。
例えば、強奏状態から左手と右手が広く離れて行くような箇所でも、左手を緩めて音量的なバランスを取ろうとしない。
ではアンバランスだったり、右手が低音の塊に飲み込まれてしまったりしているのかと言うとそうではない。
両手のバランスは絶妙に取れているのだ。
上原は右手を強めてバランスを取っているように聴こえる。
勢いカルス化の方向へ向かうハズの低音の粒たちは、どんなふうにペダルを駆使して揃えているのか、楽音としての形状を保っているのだ。
恐るべき才能とテクを再認識♪
母は強し!…って意味が違うか…笑。