長野まゆみ先生の言葉の選び方には本当に驚かされます。ひとつひとつの言葉が美しくて声に出して読みたいくらいです。
哉と玲という二人の少年の物語です。とても不思議なお話です。読んでいると別世界に迷い込んだような気分になりました。
どこか謎を残したまま、物語の幕が下りるというのは、長野作品らしいなと思います。
読んだ後、なんともいえず切ない気持ちがあふれてきます。
とても美しく静かな物語です。
少年のふたつの人格。
仄暗い空間に、静かに響く雨音。
読後何日間かは、何とも言えない奇妙な感覚に囚われます。