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シートン(探偵)動物記 (光文社文庫)

価格: ¥600
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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動物愛 ★★★★☆
 2006年に出た単行本の文庫化。7編を収める短編集。
 シートンとホームズを混ぜたような感じのミステリである。動物のちょっとした動きや特徴を観察することで、シートンが鮮やかに事件を解決していく。狼王ロボなど、原作へのパスティーシュもきっちり行われており、シートン好きな人も満足できる出来だろう。
 ただ、ミステリとしてはちょっと弱い。結末でがっくりというものも少なくないが、そこは語りの巧みさと動物愛でカバーしているというか。
 それにしても多芸な人だ。
楽しいだけでなくどこか社会批判が込められている ★★★★★
小さいころよく読んだシートン動物記のシートンが、動物に絡んだ不思議な事件を新聞記者に語るという連作もの。

特に最初の狼王ロボの話は、作中の新聞記者が語ったように、自分もどうして狼王ロボが死ななければいけないのか、なっとくが行かなかった。でも、これを読んで、納得してしまった(納得していいのか?)。

柳広司の作品は、単純に推理ものとしても面白いんだけど、どこか社会批判、歴史批判が込められていて、読んでいて、ハッとすることが多い。この小説も、動物愛護と自然保護について触れてるけど、でもちょっとストレートではなくて、そういった運動自体への批判も込められている。彼らしいところだ。

もう一度、狼王ロボの話が読みたくなった。
シートン動物記が下敷き、良質ミステリ短編集 ★★★★★
このミス2009で絶賛された「ジョーカー・ゲーム」、面白くはありましたが、
それほどこの作者の個性を感じることができませんでした。一方、シートン
動物記とその作者であるシートンを題材にした本作は、外国文学を思わせる
文体や雰囲気が独特で、7つの短編ミステリに思わず引き込まれてしまいました。

作者は本来、本作のようなパスティーシュを書いてきたとのことで納得。
ほかに同様の過去作品があれば、ぜひ文庫で出して欲しいです。

すべての短編は、シートン作品のかつての熱心な読者であるロサンゼルスの新聞記者が
老いたシートンを訪ねて、昔話を聞くスタイルで語られます。すべて、動物の生態を
熟知したシートンが、その知識を元にミステリを解明する話となっています。

カランポーの悪魔
有名な狼王ロボと人間の闘争が絡んだ殺人事件をシートンが解決する。

銀の星
金持ち婦人のダイヤモンドが二度盗まれる話。シートンは、一度目はカラスの仕業と
見破る。さらに、二度目の事件が起きた後、すべての謎を解き明かす。

森の旗
賢いリスを飼う少年が火事で父親をなくす。シートンが、行方がわからなくなった少年と、
父の死にまつわる謎を解明する。

ウシ小屋密室とナマズのジョー
仲の悪い2家族の争いに翻弄される少年同士の友情の話、変わり者の老人が
盗まれた金時計と卵を自分のものだと主張する話。

ロイヤル・アナロスタン失踪事件
金持ち婦人の依頼で失踪した血統書つきの猫を捜索した顛末。

三人の秘書官
Tルーズベルト大統領の三人の秘書官のうち、ひとり混じっていたスパイを
見つけ出す話。

熊王ジャック
「殺人熊」の熊狩りに動向したシートンが、殺人未遂を見破る話。
シートン先生がかっこいいっ♪ ★★★★☆
『シートン動物記』のシートンが主人公。
新聞記者の「わたし」が80歳を過ぎたシートン先生のもとに行き、シートンが過去に体験し謎を解いた不思議な事件を話して聞かせる。
もちろんすべての話に動物たちが関わっている。

この前に読んだ『贋作『坊ちゃん』殺人事件』とは、うってかわった文体。
もちろん前回のは漱石の『坊ちゃん』ぽい文体で、今回は『シートン動物記』らしい文体にしてあるのだと思う。
でも『シートン動物記』を読んだのははるか昔の話なので文体はおろか、内容だってろくに憶えてないけど。

原作は憶えていないけど、この本に出てくるシートン先生はとっても魅力的。
知性があふれ柔らかな物腰、自然とそこに生きる野生動物を愛するその姿はかっこいいのひと言だ。

謎解きも、若き日のシートンがまるでシャーロックホームズのような名推理をみせるが、ストーリーはどれも動物たちがからんでいて、しっかりと「シートン」している。

なかなか楽しかったです。
この人の他の作品も読んでみようと思わせてくれました。
シートンとホームズのふたりに関心があるミステリ・ファンにおすすめ! ★★★★★
 最初の短篇「カランポーの悪魔」の冒頭、八十歳の老人とはとても見えないシートン氏が、新聞記者のわたし相手に、彼の鋭い観察力と推理力の片鱗を見せるシーンがあります。わたしにはただのインクのしみとしか見えなかったものが、シートン氏の話によって、ある動物の足跡がくっきりと浮かび上がってくる場面。「おお! まるで、ワトスンを前に名推理を披露する探偵シャーロック・ホームズのようではないか」と、その辺からでしたね、『シートン動物記』の作者は実は名探偵でもあったという、このパスティーシュ・ミステリの面白さに惹かれたのは。

 <自然とともに生きる野生動物の立場で世界を眺めるナチュラリスト>であったアーネスト・トンプソン・シートン氏と、鋭い観察と推理力を生かして不可解な事件に挑戦し、その謎を解く名探偵シャーロック・ホームズ氏。本連作短篇ミステリの端々から、ふたりの人物に寄せる著者の愛情がひしひしと伝わってくる。それがまず、素敵でした。著者と同じく、『シートン動物記』と「シャーロック・ホームズ」ものに夢中になった記憶を持つ私には、そのことが何より嬉しく、また心地よかったのです。

 本書の各短篇の下絵になっている『シートン動物記』の諸篇、そこで活躍する動物たちはじめ、話の味わいや雰囲気が巧みに生かされているところも楽しめましたね。収録された七篇、「カランポーの悪魔」「銀の星(シルバー・スポット)」「森の旗」「ウシ小屋密室とナマズのジョー」「ロイヤル・アナロスタン失踪事件」「三人の秘書官」「熊王ジャック」のなかでは、「森の旗」と「ロイヤル・アナロスタン失踪事件」が面白かったなあ。「森の旗」での、事件の真相の意外性とミステリの妙味。「ロイヤル・アナロスタン失踪事件」での、下地となった「裏町の野良ネコ」の話が彷彿と浮かび上がってくる楽しさ。格別、気に入った二篇です。

 余談ですが、素晴らしきナチュラリスト、シートンの人物像が魅力的に描かれた谷口ジロー作画の漫画もおすすめ。「シートン 旅するナチュラリスト」のシリーズとして、現在、『狼王ロボ』『少年とオオヤマネコ』『サンドヒル・スタッグ』『タラク山の熊王(モナーク)』の四冊が刊行されています。