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植物が地球をかえた! (植物まるかじり叢書 1)

価格: ¥1,260
カテゴリ: 単行本
ブランド: 化学同人
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植物の光合成に感謝 ★★★★★
 38億年前誕生した生命は、光合成を行うラン藻(シアノバクテリア)を生み出す。彼らは、CO2を減少させ酸素を増加させた。酸素は、効率よくエネルギー生産ができる好気性細菌を生じ、これを同居させることで真核生物が誕生する。その一部は、さらにラン藻をとりこみ植物へと進化する。

 酸素の増加はオゾン層を生じ、地上への有害な紫外線を激減させる。その結果、植物が地上へ進出し、動物もこれに続く。この流れを築いたのが植物の光合成であり、確かに「植物は地球をかえた!」のである。

 光合成はカルビン回路へのCO2とりこみから始まる。この反応を触媒する酵素が、ルビスコ。菓子名をまねた名前だが、地球上で最も多量に存在するたんぱく質だ。酸素とも結合し、CO2を放出する光呼吸にも関わる不思議な酵素について解説している。

 地球システムのモデルづくりの話も興味深い。スーパーコンピュータの中に地球を再現しようというのだ。過去の変化を再現できるようになれば、モデルの妥当性は高いといえる。植物の重要性を確認するツールにもなるだろう。

 現在の穏やかで酸素の存在する地球環境は、植物のおかげである。毎日摂る食物も植物であり、植物由来である。改めて植物の光合成に感謝したいと思ったものだ。

 シリーズの「進化し続ける植物たち」と併せて読みたい一冊である。
光合成を中心とした植物の最新知識が読みやすく書かれている ★★★★★
この本は著者の葛西さんが、各研究者のレクチャーを受けて書くという形式をとっている。

各研究者が直接書いているのではないが,もともと生命系の大学院を出ているサイエンスライターの葛西さんが書くこの本はとても読みやすく,しかも内容が高い。もちろん取材した各研究者が監修しているのだろう,内容を信頼して読むことができる。

個人的には光合成の基本と最近の研究について書かれた第1章「知られざる植物の世界」。作物の品種改良による増産について書かれた第6章「二一世紀に緑の革命をふたたび」。 光合成色素から植物の進化を考える第7章「光合成色素を手がかりに生命進化の歴史を探る」が特に面白かった。

この本は化学同人社から出た「植物まるかじり叢書」というシリーズの第1冊目。これからのこのシリーズの出版がとても楽しみ。
命のもと ★★★★★
主題は、植物の光合成です。植物が専門ではない著者が、一般読者と同じ立場で、8人の研究者にインタビューしたものです。領域が違う各研究者が、自分の研究からみた光合成に関わる最新研究成果を語り、それを著者がわかりやすくまとめています。

光合成を地球で最初にした生物は、深海底の熱出噴出孔にいるバクテリアで、周りの硫化水素からプロトンと電子を得て、エネルギー変換を行い、余った硫黄を捨てていたと考えられるそうです。27億年前から、藍藻が出現。その細胞内にいる葉緑体が光エネルギーを受け、酵素ルビスコが二酸化炭素を取り込み、水からプロトンと電子を得て、エネルギー変換を行い、糖分を作り、余った酸素は大気中に捨て、酸素が多い地球が誕生したそうです。この光合成の明反応と暗反応とがイラストでわかりやすく説明されています。

○褐藻の研究者による細胞内共生の話。○海中の植物プランクトン研究による葉緑体の膜の解明。○稲を使って、光合成をする酵素ルビスコの研究。○寒冷地や高山への植物の適応から紅葉現象を解明。○食料危機から、超多収の稲を研究。○光合成色素から生命進化の道を研究。○地球全体内での炭素循環を考える地球シュミレーションを考えているモデラーの話など新しいことばかりで楽しく読みました。

生命の基底層を占める植物を、他の存在から際立たせている、その中心的な機能は光合成。これは古い炭酸同化作用の知識から類推していました。本書で、そのミクロ的な過程を詳しく知ることができ、それらを促進させる酵素についてもっと知りたいと思いました。また地球規模のマクロ的な視点で見ると、今話題の地球問題の殆どが何らかの形でこの反応に掛かっていること、またその反応が一種類の酵素ルビスコの働きに収斂できるようにも見え、命の根の余りの細さに驚きました。