鉄道マンの誇りにホロリ
★★★★☆
鉄道時計というのは、運転士さんや車掌さんの持っている懐中時計のこと。その歴史というと、マニアックな気がしますが、本書はバランスがとれていると思います。明治の黎明期から現代まで、鉄道の歴史を振り返りながら、時計の発展を丁寧に辿っており、鉄道史の本としても読み応えがあります。
時計開発にまつわる興味深いエピソードがたくさんあり、勉強になりました。現代ではもはや鉄道時計は、その歴史的な役割を終えてしまっているのかもしれませんが、なんというか、文化的な存在として残っている、そして受け継がれてゆくのだなあ、というのが感想です。最後は鉄道マンを目指す高校生のインタビューが載っていて、そのまじめさ、屈託のなさを微笑ましくも感じました。また、国鉄OBの貴重な証言もあり、そのプロ意識、鉄道時計への憧れと誇りには、ちょっと背筋が伸びるような気がしました。
この本を読んだら、電車が遅れたからといって、イライラすることはなくなるのではないでしょうか。