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いちげんさん

価格: ¥1,223
カテゴリ: 単行本
ブランド: 集英社
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いっぺんでファンになりました ★★★★☆
こんなに面白い小説を今まで知らなかったなんて迂闊でした。外国人留学生が京都の町で、盲目の娘に朗読のバイトをしているうちに恋に落ちる、などという設定からして憎いのに、その文章も美しく、引込まれてしまいました。日本人には見えない日本人への辛口もあり、恋愛もしっかり書ききっていて、秀作であります。
「いちげんさん」というタイトルが秀逸 ★★★★★
すばる文学賞受賞作であり、芥川賞の候補作となっていたのは知っていましたが、外国人作家が書いた日本語の小説という話題先行のイメージを持ってしまったため、最近まで手に取ることがなかったのが悔やまれるほど実に魅力的な小説でした。

解説の河野充義氏が書いているように、「外国人」だと決めつける視点がすでに本作の根幹テーマであるわけです。静かに「僕」の内面を描写していく手法は村上春樹的だと読みながら感じ、官能的な箇所は谷崎純一郎や安部公房的だなと感じていたら、河野氏も同様の印象を持っていました。ゾペティのバックグラウンドにそのような豊富な文学体験があったのでしょう。卒論が志賀直哉の「暗夜行路」ですから、私小説の世界への傾倒ぶりは作者の本質だと見てとりました。

京子の描写は実に美しく、まるで理想郷の中の人物のような印象を持ちました。それが小説の色合いにマッチしています。京子という目の不自由な女性を登場させたことでお膳立てはそろったわけです。

印象に残った箇所は「京都は壁の街だって。土塀、竹の柵、簾、格子、昔美しいと思っていたこれらのものは、だんだんと僕の目には、この街の人々の心の壁の象徴に見えてきた」と語らしています。京都なるものの一面を見事に浮かび上がらせたもので、京都としていますが、日本人的な見方の象徴としての京都にその壁を感じさせたわけで、この一節は文化的な考察力が感じられます。

ときおり、過剰なレトリックやステレオタイプ的な人物描写が目につきますが、「いちげんさん」というテーマを考えると当然の帰結だと思いました。京都の街の地理感覚や細かいところまでしっかりと描かれているのは作者の私生活の繁栄でしょう。秀逸な作品でした。
描写が美しい、留学生と目の見えない女性の物語り。 ★★★★★
ガイジンとして、京都に暮らす主人公が感じる、「差別」「疎外感」。それが余りにもステレオタイプ過ぎて、海外に留学するような学生なら、「差別」「疎外感」をこれ程、否定的に捉えないのではないか、と感じてしまった。海外を知っている人なら、この本の主人公とは違い、全てを含めて受け入れるような寛容さがあるのではないかと思う。
以上が、マイナスポイントだが、それ以上に、二人の恋が感覚的に美しい。気に入りました。
外人を見る視線 ★★★☆☆
 この作中の留学生は、日本の京都において外人として見られ扱われる事に辟易しきっていた。そんな中、目の見えない京子とだけは心を通わせ、彼女と一緒のときは周りの視線など眼中にはないのだ。

 京子が自分を差別しないのは目が見えないからであって、もし、目が見えていたらきっと他の日本人と同じように自分を差別していたに違いないと思った彼は、急速に留学生活に息苦しさを感じ始める。

 確かに日本人は多民族国家ではないので排他的な面が多々あると思うが、それは実際に外人なんだから多少は仕方ないと私は思う。それは自分の中で上手く折り合いをつけるべき事なのだ。それが嫌なら遊牧民的な放浪など止め、祖国へ帰れと私は言いたい。

 そんな訳で彼はまた、放浪の道を歩む訳だが、何処の国へ行っても彼が変わらなくてはいつまでたっても前には進めないと思った。
透明感 ★★★☆☆
 昔の作品でしたが、古本屋で偶然見つけて読みました。非常に美しいストーリーだと思いました。「純文学」という言葉の意味はよくわかりませんがこういう小説のことを言うのかなぁと思いました。
 他の方が感想に書かれていたのですが、京子には「現実味がない、透明すぎる」。確かにその通りだと思いました。ただただ美しすぎる女性。こんな人いない。会話の中に、やたら比喩を用いるような感じが、現実にはありえないのだけど、物語だとまあいいか、と思えます。何だか、村上春樹の小説に出てきそうな女性だと思いました。女って結構、怖いし、ズルイ。やっぱ、そういうのが描かれている方が好きです。
 ただ、性描写はとてもリアルです。