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龍臥亭幻想(上) (光文社文庫)

価格: ¥660
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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ファンサービス作品 ★★☆☆☆
「龍臥亭事件」が面白かったので手に取りましたが、これはあまり頂けませんでした。「幻想」というタイトルが示す通り、明治時代の怪奇談をベースにした寓話的な雰囲気作りはよいのですが、それ以外は島田氏の過去作品の繋ぎ合わせのような既視感に覆われます。最後に明らかになる犯人像などはその最たるところ。前作は探偵役・石岡の自立という裏テーマが本編と巧く絡み合ってドラマを盛り上げていましたが、今回の石岡はまるで傍観者なので拍子抜けです。前作のラストで見せた涙は何だったのでしょうか。

そもそも今回の事件は龍臥亭の面々との因果関係は薄く、龍臥亭を舞台にする必然性もないのですが、御手洗と吉敷を登場させるという一発ネタのためだけに設定されたのでしょうね。全体にそういう「軽さ」を感じる作品でした。
猟奇伝説型異邦の騎士 ★★★★★
初出は2004年10月25日発表。ミタライ(石岡&里美シリーズとも言う?)シリーズ。龍臥亭8年ぶりの事件。『龍臥亭事件』を読んだ読者でこれを手に取りたくならない人はまずいないでしょう

ミタライ・シリーズは、今ではその登場人物がまるでドラゴン・ボールのように成長し続けている。考えてみるとそれはとても凄いことだ。島田"World"の中で、全てのキャラクターが人生を生き、成長していく。それは通子の娘ユキちゃんですら、である。ということで前作の登場人物が多数8年の年月を経て登場する。そのため逆に言うと犯人は当てやすくもある。

『脳』の不思議さに派生する作品群(『眩暈』・『ネジ式・・・』・『ロシア軍艦・・・』・『魔神の遊戯』)、レオナ中心にのハリウッドを舞台に活躍するまるで外国小説のような作品群(『アトポス』・『水晶のピラミッド』・『ハリウッド・サーティフィケイト』)の一方で前回は石岡和巳一人で奮闘するとともに民話的猟奇事件を題材にした作品群と言うべきものがある。本作もそれにある。これはある意味デビュー作の『占星術殺人事件』への回帰とも言えるのかも知れない。

さて本作も他の島田作品同様、とてつもなく大きなプロット・デザインでできている。これを島田氏は『奇想』と読んでいるのだろう。全てが初めから他の作家の数千倍の大きさに設計されたとてつもなく大きなプロット・デザインでできている。ストーリーはその超巨大プロットのある一点からスタートし、読了後に初めてプロットの巨大な全体像が見えるという鮮やか仕掛けになっている。

読了後の感想を一言で言えば『猟奇伝説型異邦の騎士』が本作である。ということで島田氏のファンならマストでしょう。
期待したモノと違った ★★★☆☆
私は島田氏の作品が好きですが御手洗ものよりも吉敷ものの
方が好きです。
何故かと言えば御手洗ものは、名探偵の御手洗さんが解く謎を
ただ傍観しているだけでいつも置いてけぼりになってしまうからで
ところがこの作品の前作「龍臥亭事件」ではあのワトソン役の
石岡さんが孤軍奮闘して事件を解決したのです。
それこそ命がけで
私は作者から「あなた達でも解けるだ。頑張れ」と言う
メッセージを貰った思いでした。それこそ石岡さんと一緒に
考えて解けて嬉しかった。
そして最後には もっと早く謎を解いていれば救えた命が
あったのに・・・と泣いた石岡さんに感動したものです。

当然この作品も同じように彼が命がけで謎を解いてくれると
思っていたのです。
ところが前作は御手洗と全然連絡が取れなくて背水の陣で
石岡さんは頑張ったのに今回は携帯電話であっさり捕まり
簡単に謎も解いてしまい あまつさえ吉敷警部まで登場して
綺麗さっぱり謎がなくなってしまったのです。

おまけに今回の石岡さんは気楽なもので 誰も助ける必要も
なく命を狙われる危険もないため以前の石岡さんに
戻ってしまってるのです。

「凡人は、結局凡人のままなんだよね。」
作者からそんな言葉が聞こえそうでした。

おまけに脇役の通子さんもユキちゃんも里美ちゃんも
石岡さんよりさらにのんきなもので 凄惨な事件の描写なのに
ぜんぜん読んでいて緊張感がなかったです。

確かにトリックは素晴らしいと思いますし伝奇も面白い
田舎の問題も悲惨だと思う。だけど私たち読者の代表である
彼ら彼女らにも、もっと考えてもらわないと

結局前作「龍臥亭事件」は名作だった。そういう読書感でした。

良かったけど ★★★★☆
龍臥亭事件の続編で、前作で死んだ人は当たり前でてないが、その他がほとんど同キャラ。みんな成長してますね、とくに里美は前作のカッペ女子高生とは大きく変わって、とんでもないことになってます・・。女版御手洗にならんことを切に祈ります・・。事件は血まみれ惨劇が起こるけど、前作の連続猟奇殺人と比べると、けっこうほのぼのしてますね。とくに前巻はこれといった事件も起こらないし、神主と坊さんが軽快な会話かわしてるし・・。

過去の伝説にまつわった鎧武者を神秘的に扱ってるのは良かったし全体には面白かったけど、吉敷がわざわざ登場するのが、読者に媚まくってるようでなんかイヤだ。全然この警部が出てくる必然性がないし、御手洗と吉敷の競演は以前から望まれてたから叶えてやった、みたいな気でいるんだろうけど、御手洗自身は出てこないから中途半端なんですね。島田さん、どうにも読者への媚が近年はやたら感じます。もっと硬派になってほしいです。「斜め屋敷の殺人/リターンズ」を書いてください!”
龍臥亭事件の待望新作。期待をうらぎらない。 ★★★★★
・・・龍臥亭事件の後日談から物語の幕はあける。
犬吠里美、石岡和己、龍臥亭事件で活躍したキャラクターたちが再度活躍する。
前作にもまして、不可思議な事件が発生する。
どうする石岡、どうする里美!
読後感は、やはりとても深い悲しみに満ちています。
推理小説というと、「論理、論理」と思われがちですが、
島田氏の描く作品は「論理+人間の業」を描く傑作です!

新コンビたる「石岡+里美」コンビの絶妙なる掛け合いと心理的交流が垣間見える良作です!