ね、ぼくらの村ってほんとにきれいだろ?
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この最終話は前作のヤモから物語のバトンを受け継いだミラドーの旅の物語。
ぼくはこんなうつくしい旅を他に知らない。
世界中を旅しながらもミラドーは一日だってパグマンの村やともだちのヤモのことを思わない日はなかった。
ある日ラジオのニュースで、長く続いた戦いが終わったという知らせを聞いた彼は村へ帰る決心をする。
黒い鞄にお土産をいっぱい詰めて一人汽車に乗るミラドー。
バスに乗り継ぎ、親切なおじさんに馬車に乗せてもらったりもするけど、
とうとう歩くことになる。
長い長い道。
国境をいくつも越えていく、ふるさとへの道。
何を思うミラドー?
ぼくは思わず、彼の通った道を指でたどっていた。
彼のとなりを歩きたかったから。
眼を閉じて彼の肩にそっと手を置きたかったからだ。
この本の中の人々は決して泣かない。
怒りもせず悲しんだりもしない。
ただ春の日だまりのようなやさしいまなざしで語りかける。
「ね、ぼくらの村ってほんとにきれいだろ?」