もちろん、シアワセは訪れますとも!
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まずは、『ぼくは弟とあるいた』、『ぼくの家から海がみえた』と続いた三部作の完結を喜びたい。
小林がこだわり続けている戦争と子どもを描いた秀作です。
戦火を逃れて「ぼく」と弟のエルタンは祖父の元へ。両親の行方は知れなくなってしまいます。祖父が亡くなって、保護者が誰もいなくなった二人は、どうして生き延びていくのか。
短い語りと、クローズアップを排除し、抑えた画で全体を押さえながら、隅々まで心配りをした絵。
絵本ではとても描ききれないと思われる素材を、絵本だからこそ描ける作品に仕上げた小林の情熱に拍手です。
もちろん、シアワセは訪れますとも!(ひこ・田中)