英語学を志す学生さんにも、プラスαを望む社会人のかたにもおすすめです
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学生向けの英語学入門書として、非常にわかりやすくコンパクトにまとめられた本です。章立ては全部で25ですが、大まかに分けると「言語学のイントロ(1,2章)」「英語学大づかみ(主に歴史の面で:3〜7章)」「音声学、文体論、意味論、語用論イントロ(8〜20章)」「コミュニケーション、文化(21,22章)」「社会言語学イントロ(23,24章)」「日本での英語教授法(25章)」の6つのパートで成り立っています。
英語は「とっつきやすくて上達しにくい」との指摘も多々ある言語です。なぜ簡単そうで複雑なのか、それを歴史的に解き明かしてくれる3〜7章は秀逸です。語り口も平易なので、英語学を志す学生さんはもちろんのこと、英語が必要だけどつまずきがちの社会人のかたにも読んでいただきたいと思います。これを読んだからといって英語が上達するわけではありませんが、語彙の多様性から発音の変化などを歴史的にみることによって、勘や丸おぼえだけで乗り切っていた英語の知識に厚みがつきます(ある種の開き直りも?)ハンドブック的に持っておかれても非常に役立つ1冊です。
学術文献の一覧表も充実しているので、「英語が好き」というよりも「言葉が好き」というかたに大いに利用できる本だと思います。学生さんはもちろん、この本を足がかりに大いに勉強していただきたいですし、「実務+α」を望む社会人には英語の奥をより楽しんでほしいという観点でも、文句なくこの評価としたいと思います。