英語学の入門書に
★★★★☆
13章から構成されており、英語の歴史、社会言語学、音声学、意味論、統語論、第二言語習得などの概要を学ぶことができます。
読みやすい英文で執筆されており、例を挙げながら説明していく手法に好感が持てます。
大学で中学・高校の英語教師の免許を取得しようと考えている方やこれから英語学を学ぼうとする方におすすめの1冊です。
値段も1600円と他の言語学の本と比べて安く、CDも付属されているのでお得です。
ただCDに全英文が収録されていないのでマイナス点です。(評価☆−1)
また、英語学を専門的に学びたいと思っている方には物足りないと感じるかもしれません。
それでも、英語学に興味がある人にとって、読んでいて面白いと感じられると思います。
英語学を英文で学んでみたいという方も、ぜひ手にとって一読してみてください。
現代の大学の実情を考慮した、斬新な構成のテキスト
★★★★☆
残念ながら、現代の一般的な大学の文系学部における学部生の学力の低下と勉学意欲の減退、そして大学経営者たちの拝金主義と教養軽視の傾向は、もはや歯止めが効かない状態になっていると言っても言い過ぎではない。本書は、そのような状況の中でも、何とか少しでも英語学・言語学に対して学生の関心を向けさせようという苦労がにじみ出ている感のある入門書である。英文の本文に対して和文の解説・まとめ・演習問題がつけられているという基本形式を敢えて選択した点、専門用語にはすべて英文テキストの欄外に和訳と必要に応じて簡単な解説が付記されている点、付属CDに本文を始め方言や古い時代の英語など、大部分の英語教材部分の朗読が吹き込まれており、耳からの充実した学習材料が添えられている等々、著者たちの大変な苦心の跡が随所に感じられ、同じ大学教員として感嘆と尊敬の念を禁じえない。それでいて内容面では決して変に学生におもねるような妥協はしておらず、学部生向きの英語学入門書としてはほぼ充分な量のキーワードや概念が網羅されているといえる。よくぞこの価格とこの薄さでこれだけの内容が詰め込めたものだと、賞賛を惜しまぬ次第である。ただ、私の個人的感想としては、文の意味論と心理言語学の部分にはもう少し話題の広さと深みが欲しかったように感じるし、社会言語学の部分はもう少し簡潔にまとめてしまってもよかったように思う。しかしこれは各人の好みや価値感によって変わってくる問題でもあり、本書の致命的欠点とまでは言えないであろう。ともかく、実に有り難い英語学!テキストの出現である。少しでも多くの大学・多くのクラスで、このテキストが有効に活用されることを望む。