アラマタ先生は風水先生。
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いまや風水は市民権を獲得し、迷信と信じてきた物事が意外にも科学的であったりすることがある。
風水の基本の陰陽であるが、これはプラスとマイナスの組み合わせになる。これは、コンピューターの原理と同じだが、日本でこれを知っている人は少ない。易も統計の集大成、確率と思えばいいが、これは陰陽、易の筮竹に置き換えるとわかりやすいかと思う。ちなみに、易については本家の中国ではなく日本がいまや世界最高のレベルにあり、ひそかに学びにやってくる中国人もいる。
さて、この風水だが、きわめて理解しやすい具体的な実例で紹介されている。東京の主要な企業のビルを風水で判断しているが、いずれも当たっていることに驚きを隠せない。さらに、日本全国の主要な都市を網羅したことに感心する。
不思議を連発して神社が配置されている場所、方位を概説された方がいたが、冬至や夏至という天体の動きを観測しやすい場所に神社を設けるのが必然であって、偶然に神社を配置しているわけではない。その解説をされた方は太宰府天満宮には何ら方位など関係なく設けてある神社と書かかれた。ところが、風水でいえば龍穴(りゅうけつ)にあたる場所が太宰府天満宮である。風水を知っていれば、あえて無知を世間にさらけ出すこともなかったろうにと思う。
風水は様々な方法で悪しき事を変える方法も示してくれるが、基本は祖先を敬い、神仏を尊ぶことから始まる。そう思うと、宇宙の中心は自分自身にあり、自分自身がぶれれば宇宙(周囲)がずれてしまうということか。
まじめな本です
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風水が今ほどポピュラーになる前の本。
カンタン風水ではなく、東京の地形がどのような風水によって形作られているのか、中国はどうなっているのかなど、基本的な部分が語られていて、とても興味深い。
ぜんぜん関係ないが私は、この本を読んだ直後に見合いをした。ぜんぜん盛り上がらずにお開きになったその帰り際「今 風水先生を読んでいるんですよね」と何の気なしにいったその一言が彼の興味をひき、見事交際の申し込みを受けたという経験がある。
初心者のための風水解説書
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本書に書かれている風水大戦争の舞台となった中国銀行と上海銀行を実際に香港で見てきました。
恐らくこの本を読んでいなかったら変わった建物があるとしか思えませんでしたが、読んでいたおかげでメチャクチャ楽しめました。
まず、本書は風水の基本的な考え方が分かります。『黄色はお金が集まる』とかそんな似非風水の話ではありません。
風水とは大地の気の流れ(龍脈)を観ることだという前提がすんなり入ってきます。
ここを間違えると、風水が雑誌の裏の占いのレベルと同じに見えてしまいます。
逆に本書を先に読むことで、幼稚な風水本を避けられるという防御機能が養われます。
ドキュメンタリー風な形式で進むので非常に読みやすく、香港の実例なども出してくれるので、風水を知りたいという超初心者の方にお勧めです。
ここから他の書籍に手を伸ばしたほうが効率的に風水を学べます。
そんじょそこいらの金儲け・エセ風水師とはワケが違う!
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私は20代の10年間のほとんどを、香港という街とその文化を探求することに費やしたような人間です。
香港人の友達に囲まれ、広東語と英語で会話し、返還前の香港の街を歩き回って過ごしました。
ですから風水も、自然と身近なものとなり、友人の付き添いで、或いは自分自身が診てもらうために、
風水師の先生のオフィスを訪れたこともありました。
香港の街のいたるところに、風水的な意味合いを含んだ建物や場所があり、ガラス張りのカフェは景観のために
そうしているのではなく、風水の為に、龍が通れるように、ガラス張りになっている…というような話が
普通にごろごろしています。
丁度その頃、荒俣先生がある雑誌に風水のことについて 香港取材をされたレポートを発表されていました。
私が友達や友達の家族、風水師の先生に教えてもらって 知っていた知識より、はるかに深い理解と知識が
そのレポートに溢れていました。
(その1部は本書にも載っています。)
風水において、羅盤というものは非常に重要というか…仕事の必需品なのだ、と認識していました。
でも、日本に起きた風水ブームのあのDr.(何ゆえにDr.なのだろうか?)は、
私の知る限り一度たりとも羅盤を手にしてはいませんでした。
方角のことを薀蓄を垂れ流すように話すのですが、肝心の“龍脈”や“気”については
全く触れることは無かったようにも記憶しています。
日本に留学して来ていた香港人の友人も、「ダメよ〜。違うよ〜。」と笑う始末。
これ以上は書くことを控えますが…。
荒俣先生の本は、香港で一般に理解されている風水をきちんと踏まえた上で書かれていると思います。
香港上海銀行、中国銀行のエピソードというか、状況は まさに荒俣先生の書かれている通り、
どっかヘン、便利さという点では利にかなっていないものです。
でも風水的には大きな意味を持っているのですね。
自分も見て歩いていた場所なので、うんうんうなづきながら読み進めました。
実に楽しめる本です。
この本なら、香港人に読ませても大丈夫…ふふふ。
それにしても荒俣先生はスゴイ。
ご自身が巨大な知識の保管庫、のような存在に思えます。
もっともっと、いろいろな事柄について、本を書いていただきたい。
是非読ませていただきたい。
心からそう思います。
風水がまたおもしろくなりました
★★★★☆
風水がどういうものかをあまり知らずに風水ブームに乗って
はみたものの、この本を読んでから、もう少しちゃんと風水
について読んでみようかなぁという気になりました。
荒俣先生は、やはり何でも理解して消化してしまわれる方らしく、
そういう意味でも感心いたしました。
香港上海銀行の話も面白かったし、日本の大企業ビルの風水診断
も面白かったです。どの程度、風水を読んでいくと自分なりに楽しめるのか、そんな指針を頂いたかんじです。
まだまだ、面白い話が「出そう」なかんじで、
3冊目の風水先生も出るといいなぁ、と期待をこめて。