カバーイラストが競馬っぽくて、タイトルが情報処理用語である
プロトコル、帯には「不器用女子の生真面目な生き方！！」と
あり、競馬とプロトコルと女子は確実に接点がなさそうだな〜
と思いながら購入しましたが、とても楽しめる作品でした。
（ちなみに表紙絵は競馬ではありません。）
　
プロトコルと言えば、一般的にはコンピュータ通信における
約束事ですが、本作では人間同士の意思疎通における約束事
という意味合いでも使われています。
　
主人公の有村ちさとは、ネット通販大手のヴィヴァンで働く
会社員であり、ある特性を見込まれ、情報システム管理部に
勤務しています。
その特性により、ヴィヴァンを解雇された景山次長が
第二の主役であり、そこに起業に失敗した沖津や、ちさとの妹
ももか、ちさとに特性を植えつけた(？)父親等が絡み合い、
話が進んでいきます。
　
本作では、世の中がひっくり返るような大事件は起きませんが、
個人にとっては重要な事件が発生し、不器用ながらも乗り越え、
成長していく姿に、とても惹かれました。
また、登場人物が総じて魅力的であり、主人公を苦しめる側に
いた人物についても最終的には好感が持てると思います。
　
ラストも爽やかであり、大変、読後感の良い作品です。
読むことで爽快になれる本、お勧めです！