本書と同じ著者らが書いた同シリーズの本「絵ときめっき−基礎のきそ」に比べて
話題を機能に絞っていることから、めっきの基礎についてはほとんど触れられず、
一般的な商品に対してめっきを用いることで「物理機能」、「化学機能」などを
いかにして得ているか、といった話題提供がされています。
特に近年発達が著しい電子機器関連での機能めっき分野での進展は目を見張るものがあり、
実際の商品の例示と目的などが多く盛り込まれています。
特に注目したいのが、第４章の「機能めっきの実際」であり、超臨界めっきや粉体への
機能めっきなど最新の話題と将来へ向けた可能性などが提案されており、非常に
興味深いものとなっています。
ただ、第６章の「応用編〜ケータイから宇宙まで」については、紙面的な都合も
あるためか、電子基板や電磁波対策の機能めっきを中心とした著者らの視点からの
技術解説にとどまっており、その他の機能めっきではどのような機能を発揮しているのかが
判りにくくなってしまっていたのが残念に思います。
本書のシリーズである「絵とき」にあるとおり、見開き２ページで１つの話題を
理解を促進する絵を用いて解説するスタイルは各分野における入門者などへはとても
有用と考えます。めっき分野へ興味を持った方へは是非お奨めしたい書です。