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村上春樹を読みつくす (講談社現代新書)

価格: ¥798
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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村上春樹、縦横無尽。 ★★★★★
村上春樹の作品に通定している世界観とは何か。全作品をじっくりと読み込んだ著者が、様々なテーマを掲げてその解説をなしている。直近の『1Q84』への言及がやはり最も目立つが、その他の長短編からも相当に幅広く具体例を探っており、出来る限りの全体像を示そうと努めている。新書としてはかなり実のつまった春樹論であるだろうと感嘆した。
生と死の反転、既成の言葉に対する不信、一義的な論理の拒否、倍音の復権、海と森の豊穣、記憶の力、悪の問題、歴史と戦争、図書館、ドーナツ、羊、などなどファンにはお馴染みのモチーフを手際よく説明しつつ、日本の古典的な美学との近似性、という著者の独自的な見解もまじえて、春樹作品の魅力が丁寧に紹介されている。
作家に対する著者の長年にわたるインタビューから導き出された見解も豊富であり、また議論を補強するための実地取材もよく行っているので、ひとつひとつの言葉に他の凡百の批評文にはない独特の説得力がある。むろんそれでも著者の解釈が強く出すぎているように感じられる記述もあるのだが、十分に納得はせずともそれはそれで興味深く読める。
初心者からコアなファンまで楽しませてくれる一冊ではないか。
もしよければ「あとがき」から ★★★★★
あくまで本書はインタビュアーな外部者からの評論本なので、その内容についての感想をここでくどくど書いてもあまり意味がないと思う。
興味がある人は手にしてみては、と言うしかない。
ただ、結論から言うと、買った時に思っていたよりも面白く読むことが出来た。
記者職の人が書くものは分析的かつ解析的過ぎて本来はあまり好きではないけれど(もちろん本書にもそういう要素はある)、いちばん良かったのは、本書を何の気無しに「あとがき」から読んだことかも知れない。
本読みには、誰かから指図される読み方なんてどこにもないけれど、もしよければ、本書をお手にされた読書諸氏も「あとがき」から読んでみてもらえれば、と思ったりもする。
本書著者の「少し個人的なこと…」について。
それを読んでから本文に入って行って、本書のこと悪く思えないよ、という感情になって読んでしまったのかも知れない。
というか、村上春樹作品そのものも実は、そういうこと、のためにある本なのではないだろうか…。
ふとそんな気がした。

PS:
文学世界の人(批評家など)たちからの本よりも本書の著者もそうだけれど記者職の人や、心理学職の人からの本のほうが村上春樹作品を読む本として面白い(優れているのかどうかはわからないけれど)と感じられるのはなぜだろう?
それはきっと文脈的な解析よりもまず先に、その人間が生きている社会環境からの影響や問題意識、そこから来る心の影響を、小説家自身も大きく受けている(受けざるを得ない)からだと思う。
その先になってようやく打ち込む言葉や構成などのテクニックがあるのだと思う。
そういう意味では心理学職の人、岩宮恵子さんの本も、村上春樹作品の読書諸氏には非常に面白く興味深い一冊になると思う。