もう少し
★★★☆☆
沢山ある交響曲をそれぞれ解説したり、貴重な資料やエピソードの紹介は
大変参考になります。
ただ譜面が少なすぎます。そもそもこの手の本は縦書きでいいのか気になります。
原文や綴り、譜面は横書きでみる方が楽です。譜面もさらに増やせたでしょう。
曲の一覧表や踏み込んだ資料の紹介などがあればもっとよかったと思います。
ハイドンの魅力を伝えるには
★★☆☆☆
ハイドン・イヤーの2009年、雑誌の特集はあっても単行本の発行は今のところこの1冊で、期待は高かった。長大な交響曲全曲の解説という視点、いろいろな資料に当たった準備、おそらくCDで全曲通聴し独自の視点で各曲の特徴を描き出した点には、敬意を表する。しかし、肝心のハイドンの音楽の楽しさ、愉快さ、その魅力がなかなか伝わってこない。その魅力でもあるユーモア、機知についての情報をもっと盛り込むべきではないか。45番の調性については、「極めて珍しい」だけではなく、鈴木秀美氏が指摘するように「遠隔調」というとらえ方もあるのではないか。また、90番4楽章については、おそらく著者はラトル/BPOのCDを聴いておられないとは思うが、日本のコンサート会場でも同様なハプニング(?)は毎回起こるが、全く記述されていない。
交響曲全集のCDの解説代わりに
★★★★☆
協奏交響曲と断章を除くハイドンの106曲の交響曲の一曲づつに解説をつけたもの。
ブリリアントのA・フィッシャー指揮の交響曲全集のCDを買ったものの曲の解説がまったくないのに呆然とした人には必需品でしょう。
曲の解説は一曲2ページが標準ですが、初期の作品は1ページのものも多く、また重要な曲では3〜4ページになっているものもある。
作曲年代、楽器編成という必需品もついているし、各楽章ごとの解説もついているので、必要は満たしていると思う。
あまり知られていないようだが、ハイドンの交響曲の番号と作曲順はほとんど一致していないので、ロビンス・ランドンによる作曲順の推定表が載っているのが貴重。ただし、各曲についている作曲の推定年代と比べると違っているものもあるので要チェック。
作曲年代順に並べるのは無理なのはわかるので番号順の解説はいたしかたないとは思うもののせめていくつかの時代区分に分けるくらいはしてもよかったのではないかとも思う。
とはいえ、ハイドンの交響曲についての一曲づつの解説で容易に入手可能な唯一のものとしては、十分な内容を持っていると思う。
ぜひ、弦楽四重奏曲やピアノ三重奏曲での同種のものがでることを期待したい。