お金は少なくても、自分の手と頭を使うことを厭わず、情熱を持ってより良い住まいを得たいと思っている人間に、本書は多くのヒントと勇気を与えてくれることでしょう。
本を開いた時の左側がイラスト、右側が本文という構成も特筆モノで、気負う事無く気軽に読めるのがいい。イラストの部分だけ眺めていても一通りの知識は得られ、本文を読めば更に理解が深まる。小難しい理屈を書き綴った他の住宅本よりも、遥かに判り易くて為になる。
筆者は建築家として新しい工法の開発にも取り組んでいるが、いたずらに自前の工法を宣伝する事もなく、極めてニュートラルな姿勢で本を著している。筆者がローコスト住宅を通じて、本当にいい家を建てようという人の事を真剣に考えて著している事が書面から感じ取れる。
いい家を作りたいと志す人にとって、最高の参考書となる事請け合いである。