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室温

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 白水社
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「内側」に対する絶望的な指向 ★★★★★
前作の『中二階』には、或る種異様な緊張感が漲っていたことが、本書を読むとわかる。
本書にあるのは、小雨の上がった灰色の空の下の情景のような、落ち着き払った沈黙だ。

「あの遠くを見るような目は二度とすまい、それが子供の頃に発見した驚きや喜びであろうとなかろうと(後略)」(『中二階』53頁)と作中人物に言わしめた前作と違い、ここに書かれてあることは、一々過去に結び合わされ、記録映画のように小綺麗に封印されている。

とはいえ、分娩の時に産道から現れたわが子の頭頂についての淡々とした描写(65頁)は、生々しさに対するおののきのような常人の反応を意にも介しておらず、この作中人物の主観と対象物との結び付きは、平均的な人の到達し得ない特別な(かつ異様な)領域に達しているのではないかという気もする。

「内側」に対する絶望的な指向。子供の時、枕の内部を描くことを母親から課せられて、「いくつもの線の集合体、もしくはその集合体の内部のメルカトル図展開」(90頁)のイメージを図像化できずに煩悶する。「内部」を「展開」するなんて、論理的に不可能ではないか。作中人物にとっては、枕の「内部」とは(妹が描いたような)外皮によって隠蔽されて在る内容物のことなどではなくて、具体性の裏返し即ち、実在の我々が縛られてあるところの、物事を実在せしめている論理の平面の、禁断の裏側に見つかる何かのことだったのではないか。

『中二階』ではじめて世に問われた著者の作法は、奇抜な思い付きなどではなく、発展と一般化ができ、影響を我々の生きた意識に及ぼすことのできる方法であることが、本書ではっきりした(書かれていることはいつまでも謎めいているが)。ネタ切れなんかにはならないだろう。作家の行く手は保証されていると思う。
やっぱ美は細部に宿る かな・・・ ★★★★★
いっやー 中二階に続く路線で、育児をどう絡めるかが大前提のテーマなのですが。いいねー、ホントに。色についての考察や、とにかくこまごましたもの、マクロよりミクロの世界を愛するマイノリティーのすべての人たちへ!!いつも小脇にかかえて仕事がんばりましょう!!!