サードガールなど、神戸を舞台におしゃれな男女関係を書く西村しのぶの作品

今回の設定は、いとこ同士、つまり、母娘の家に、親を亡くしたいとこの弟が
お互いに男と女をおしゃれに磨いてゆくことになっています。

従兄弟同士で愛し合う条件に、犬を連れてくる条件とか、
家出先がタヒチだったり、家に先輩女性を連れ込んだりとか
なかなか倒錯した、しかし底抜けに楽しんでいる姿があります。

これらの設定が破廉恥ととるか、状況に応じて精一杯楽しんでいると
とるかは、読み手によって変わる気がします。

手元の本は、旧装丁で、表紙がかっこいい下着姿の百合で
タヒチに出かけるところで終わっています。元気でおしゃれ、伊達女を
めざす設定のこの本は、西村しのぶの雰囲気が好きな人にはおすすめではと思います。

幼児の頃に両親を亡くしたアキミツは、いとこの百合・叔母の多恵ママとの３人暮らし。
アキミツと百合は、いとこであってきょうだいのようでもあって時には恋人、という万華鏡のような関係。
そんな二人の神戸・花隈暮らしと高校生活を描いた作品。
西村しのぶの作品で繰り返し用いられる、医者or歯医者と若い女の恋、というモチーフも踏襲しつつ、アキミツ・百合の二人がモラルなんてとびこえた楽しい世界を新しく切り拓いています。
インモラルでもアンモラルでもなく、あらゆるモラルを超越している。
そこにあるのは、楽しくて軽やかな、見事なオールさばきで舟を進める二人の姿。
ハマります。

幼稚園頃から一緒に育った従姉弟（いとこ）同士の不思議な心の交流が描かれていて、一種「爽やかさ」を感じる作品です。

伊達女を目指す百合と、百合にはさからえない秋光のちょっと高校生らしからぬ行動が、何ともし～ちゃんらしいテイストで味付けされている。この頃の二人はまだまだ大人しいものなので、今後の変貌ぶりが楽しみね♪
それにしても、家出でタヒチはいいよな～～～