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サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ(紙ジャケット仕様)

価格: ¥3,990
カテゴリ: CD
ブランド: EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
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   政治的なアジテーションやプロパガンダは、ロックにとってほとんど吉と出たためしがない。ジョン・レノンのような天才の場合でもだ。いや、ジョンの場合は特にと言うべきか。ジョンのソロ・アルバムの中でもっとも完成度が高く、バランスが取れていると言われる『Imagine』の直後に登場した本作は、アルバム1枚ぶんの大演説会と言えそうな内容だ(「ボーナス」としてライブ・ディスクが1枚付いてくるが、ブービー賞もののつまらなさである)。

   ここには当時の慣習の犠牲者たちや運動のことがすべて出てくる。たとえば、フェミニストの苦難(「Woman Is the Nigger of the World(女は世界の奴隷か!)」)、アメリカの不正(「John Sinclair」、「Born in a Prison」、「Attica State)、アイルランド人問題(「Sunday Bloody Sunday(血まみれの日曜日)」、「Luck of the Irish」)などだ。その結果、退屈で聴き苦しいアルバムになってしまった。

   ジョン率いるプラスティック・オノ・バンドの優秀なサイドマンたち(ビリー・プレストン、ニッキー・ホプキンス、クラウス・フォアマン、エリック・クラプトン、ジム・ケルトナー)を大々的にフィーチャーし、伝説のプロデューサー、フィル・スペクターを総指揮にあたらせたにもかかわらず、大演説を支えるだけのジョンらしい大胆さや英知がセッション中1度も感じられないのだ。ジョンという人物のある側面を知るうえでは貴重な記録だが、アルバムというよりは風刺のトレーニングと言った方が良さそうな内容だ。(Jerry McCulley, Amazon.com)