イームズ夫妻の名作を文庫で持ち歩ける
★★★★★
椅子マニアの喝采を浴びたエイ文庫の「美しい椅子」シリーズの外伝的な一冊。
「美しい椅子」シリーズは決まったテーマに沿って複数のデザイナーの椅子を集めた、いわ
ばオムニバス的な本でしたが、この本はそのタイトルどおりイームズ夫妻の作品だけで構成
されています。それだけで一冊の本になるということは、言い換えればイームズ夫妻がいか
に長期に渡って質の高い (かつ実用的な) 作品を多く世に送り出してきたかを物語ることに
なると思います。
この本では、彼らの主要な作品の写真はもちろんのこと、夫妻の生涯を追った読み物や、研
究家による寄稿など、全編を通じて飽きさせない編集がされています。
個人的にはイームズよりもヤコブセンやウェグナーをはじめとする北欧のデザイナーのクラ
フトマンシップの方が好みなのですが、安価で品質の良い製品の安定供給を意識したけれん
みのない合理主義に基づくそのデザインからは「使われてこそ活きる」という考えが見て取れ
るようで、興味深くその作品たちを眺めることができます。