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働くということ - グローバル化と労働の新しい意味 (中公新書)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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巷にあふれる雇用問題本とは一線を画する本 ★★★★★
本書は巷にあふれる雇用問題本とは一線を画している。
それは、本書の著者が外国人であることもあり、他国のデータが充実していることと、グローバリゼーションという状況をよく踏まえられている点にあろう。

新自由主義の流れなどについても、感情的反発ではなく、歴史を通じた大局的な目と、他国のデータという縦と横の二つの観点をきちんと用いて分析されている。

個人的に一番面白いと思ったのは、非常に瑣末な部分なのだが、渋沢栄一が言っていたという「起業家リスク」(運のみならず、顧客を喜ばせようとする心がけが成功を左右する)と「投機リスク」(純粋に金儲け。運と狡猾さのみ)の差という視点であった(p68〜69)
連合はどうする? ★★★★☆
連合の2008春期生活闘争方針と比較対照しながら読むと面白いと思いました。
連合の分析は、「非正規労働者」(年収200万円以下・低賃金層)の増大が二極化・格差の拡大を進めているという。失業率も全国的には、改善と悪化の両面がみられるものの非正規の雇用者が働く者の33%を占める雇用情勢あることを指摘している。さらに、勤労者の可処分所得の減少と労働分配率の低下を指摘する一方、主要企業の役員給与が従業員給与のアップ率をはるかに上回っていることをいっている。
本書では、経営者の優先順位の変化を従業員主権企業から株主主権企業へと変転したことを判りやすく説明しています。企業がますます共同体的でなくなり、(内外の)競争と成果主義を露骨化させる姿勢を批判(?)してます。
連合の分析は間違っていないものの、これらの変化に対する処方箋が「働くということ」をつうじて求められています。
量からではなく、質から労働を ★★★★☆
 なぜ人は働くのか。少なくとも、よく言われるような「食う」ためでない事は明瞭です。「食う」だけならホームレスでもできます。より正確を期するなら、他人に認められる形で「食う」ために働く、というのが正しいのではないでしょうか。つまりは労働もまたひとつのファッション。意味を操る人間の特性に順じて、より衒示的に「食う」ために働いているのではないかと。そうなると働くことに関しても、流行の労働とそうでない労働が出てくることを避けることは出来ません。それが現在、極めて明瞭に目に見える形、つまり収入という形に収斂し、その影響は只労働の価値を決めるに止まらず、人間の価値にまで及ぶ包括的なものとなりつつあるといいます。本書の主題となるべき問題意識はまさにそこにあるのです。
 著者が危惧しているのは、そんな収入のみを基準にした流行の労働が開き直りと自己増殖を進めているように見える点です。生産はひたすら効率性を追い求め、投資は目先の利益率を目安に行われる。そこには社会に有益であるとか、将来の可能性などは大して考慮されず、社会にとって必要不可欠な職業が利益が出ないからといって蔑ろにされ、同じ社会に生きるものが流行の労働能力を持たないからといって権利を奪われていく世界があります。豊かなものがより富み、貧しいものがより乏しくなるような自由。しかも、スタート地点もコースの起伏もバラバラな自由競争の下、高い収入を得ていることがあたかも社会的にも有益な人間の証であるかのような価値観が広がり、尚且つ勝者はそれを当然の如く感じている。今まで人々の連帯を支えていた、高い地位に伴う当然の義務感というものが欠落した勝者たちにとって社会は不要なのでしょうか。著者は数々の可能性を列挙して明解な結論は避けますが、これだけは不変でしょう「あなたの不安が、私の平和を脅かす」。
穏やかだが痛烈な批判 ★★★★★
「働くということ」に対して注がれる著者の透徹した眼差しは、究極的には「公正さ」に対する社会的合意をどのように構築するべきか、という問いに集約されていく。そしてその問いかけはグローバル化が進行する現代の「市場個人主義」の負の側面を鮮やかに浮かび上がらせる。
一つには「その仕事は社会的にどのように有用なのか」という問い。「国際貿易取引に必要な額の200倍以上もの投機的取引」が、時折巻き起こす世界的な金融危機等の負の側面を差し引いてなお余りある有意義なサービスを提供しているといえるのか。
また一つには「貪欲さはどの程度まで許容されるか」という問い。平均的給与所得者の1000倍もの所得を得る経営者たちの高給を説明する概念が単に「社会規範の変化」、つまり「貪欲を貪欲とけなすことをためらう傾向」でしかないこと。そしてこの傾向はこの四半世紀のあいだ加速することはあっても逆転する兆しは見えていない。
これらの問いはどれも答えの出せない問いである。だからこそ、常に問い続けなければならない問いなのだろう。
ちょっと難しいが読み応えあります ★★★☆☆
イギリス人の著者が、長い間見続けてきた日本の労働環境・状況について、著者含めたさまざまな捉え方を説明し、著者なりの意見を投げかける。

年功序列と競争(成果主義)の対比、労働市場の柔軟性・流動性の与える影響、これからの社会的変化の中での労働状況のありえる変化、市場のグローバル化と資本主義の多様性などが、主なテーマである。

平易な表現で書かれているわけではなく多少とっつきにくいところもあるが、じっくり読めば理解出来、得るものは多い。