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科学者は神を信じられるか―クォーク、カオスとキリスト教のはざまで (ブルーバックス)

価格: ¥840
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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   本書は 『Quarks, Chaos & Christianity』の邦訳である。ジョン・ポーキングホーンは、量子力学の発展に貢献した20世紀を代表する物理学者の1人ディラックから直接指導をうけた著名な理論物理学者である。彼はケンブリッジ大学クイーンズカレッジの総長を務め、その後に神学校へ入学して聖職者となり現在は司祭としてさまざまな科学プロジェクトに関与している。

   彼は神学の立場から科学と宗教の関係について「この世界を理解する上で、科学と宗教(キリスト教)が相互にどのように関係しているか」と問い、本書はその問いへの1つの結論として著されている。彼は科学と宗教について「科学は元来、『いかにしてか』と絶えず問い、それに答える営みである。それに対し宗教はなぜ物事がそうでなければならないかを問い、それに答えようとする営みである」と定義し、この両者は世界の理解のために相互補完的に必要ではないだろうかと、科学と宗教の積極的な交流の必要性を説いている。

   彼は神の存在、神による世界の創造、奇跡、キリストの復活などについて、理論物理学者としての科学的な基盤から独自の神学を展開している。その中には複雑系や人工生命などで注目されつつある、大自由度力学系における創発の概念や仏教における輪廻転生の考え方に通じるような部分が見られ(もっとも彼はそれを意識していないが)、興味深い。

   しかし、本書はやはりきちんとした神学書であり、キリスト教的な考えに慣れていないとついていけない部分もある。訳は良く、原文での表現の美しさを反映している。(別役 匝)