フュエゴ
価格: ¥1,700
ハードバップ期はもちろん、フュージョン期にも数多くの作品を残しているドナルド・バード。『Place And Spaces』のような、スカイハイ・プロダクション絡みのフュージョン期の作品が、現在の若い世代を中心に愛聴されている。
しかし、モダンジャズ全盛期のこのアルバムも忘れてはならないだろう。強烈な個性がせめぎあう当時のジャズ界にあって、バードのスタイルやアルバムは突出していたとは言いにくい。
だが、59年10月に録音された本作では、実にはつらつとした演奏を聴かせてくれる。メンバーはジャッキー・マクリーン(as)、デューク・ピアソン(p)、ダグ・ワトキンス(b)、レックス・ハンフリーズ(ds)。格調高いタイトル曲や、これぞバードの真骨頂であろうファンキージャズ『エーメン』など、どれも充実した演奏ばかりだ。ハードバップを聴く醍醐味が凝縮されたというと大げさだが、バードの実力が余すところなく発揮された会心の傑作だ。(坂本良太)