本書は、このリーン思考を実践している多くの企業がうまくいっていないのは、改革のステップに誤りがあるからだと指摘し、流れ図を用いることで全体を概観し、かつムダを省く方法を提唱している。流れ図を用いることのメリットの説明から始まり、具体的な流れ図の書き方、サイクルタイム(C/T)や付加価値時間(VA)、リードタイム(L/T)といったリーン指標の説明まで、全体最適を実現するために必要な情報がわかりやすくまとめられている。巻末に「バリュー・ストリーム・マッピング・アイコン」の一覧があり、参考になる。
著者が序文で言っているように、現場では「Just do it!」が基本だが、このバリュー・ストリーム・マップを使えば、容易に問題点を見つけ出し、改善することができる。TOCの基本を説いた『ザ・ゴール』と併せて読みたい1冊である。(土井英司)