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ベン・フォールズ・ファイヴ

価格: ¥2,548
カテゴリ: CD
ブランド: EMIミュージック・ジャパン
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   ギタリストのいないトリオ、ベン・フォールズ・ファイヴのピアニスト、ベン・フォールズは、まるで最高のギターヒーローのようだ。彼は、名人芸ともいえる権威あるスタイルで、このタイトなアンサンブルに力を与え指揮する。ノースカロライナ州チャペルヒルを本拠地とするフォールズは、あらゆるところからアイデアを得ると同時に、新しいインスピレーションと洞察力で、ピアノの可能性を引き出している。彼はいわば、小型グランドピアノをプレイするジミ・ヘンドリクスだ。熱狂的に鍵盤を打つプレイは、ホンキートンクからジェリー・リー・ルイスのラグにかけてのオールドスタイルをしのぐ。

   またフォールズはトッド・ラングレンやスクィーズのジュールズ・ホーランドなど、クラシップポップを愛するオルタナティブなキーボード奏者を思わせるが、そうした激しい演奏を聴かせながらも、エルトン・ジョンやビリー・ジョエルといった巨大スターさえ凌駕してみせるのだ。

   このようになんでもうまくこなしてしまうピアニストとしてのフォールズをいっそう完璧にしているのは、ソツなく甘いポップの名品を書くソングライターとしてのフォールズと、それをクリアでダイナミックなテナーで器用に歌うシンガーとしてのフォールズだ。

   たとえば「Philosophy」はジョエル風のイントロではじまったかと思うとラングレン風のコーラスに流れ――しかもベースのロバート・スレッジとドラムのダレン・ジェシーのビートルズ風ハーモニーつきだ――、ガーシュウィンを引用した加熱したソロがはじまってクライマックスを迎える。「Underground」は芝居がかった演奏でサージェント・ペパーズを思い出させておいて、オルタナティブ・ロックを祝福するソウル=ゴスペルのグルーヴに突入する。「Uncle Water」はレイ・デイヴィスが書きたがったであろうキャラクター・スケッチであり、「Boxing」はトム・ウェイツが書いてもおかしくなさそうなモハメッド・アリとハワード・コセルの架空の会話だ。

   ベン・フォールズ・ファイヴはデビューにして、名盤をつくってしまった。それは永遠の夏のレコードというものが例外なくそうであるように、一年中、明るい気持ちにしてくれる。(Roni Sarig, Amazon.co.uk)