未発表曲のうち、ファースト・トラックの「アトランタ」はダンス・ビートにバロック風のフレーズを乗せ、メンバーのクラシカルなバック・グラウンドを強調したつくり。彼女たちの原点といったところだ。続く「タイム」では、70年代ごろのムード・オーケストラっぽいメロディーが耳に残る。リミックスものでは、シンプルなビートの「スピード」こそメイン・ストリームのポップ・ミュージックだが、スペインを意識した「フエーゴ」とインドにインスパイアされた「シャイン」の両曲は、ワールド・ミュージック寄りの路線を打ち出している。
そして、お待ちかねの映像では、そのエスニック色がさらに強調される。「フエーゴ」のプロモーション・ビデオは闘牛場、パティオのような空間、焚き火の燃える浜辺といったエキゾチックな場所で撮影され、フラメンコの踊り手や黒い馬に乗った黒ずくめの男などが登場してムードを高める。一方「シャイン」は、ボンドがインド映画に出演し、セットの中で演奏しているという設定だ。インドの映画音楽には欠かせない弦楽器の独特なイントネーションも取り入れて不思議な雰囲気を出している。(松本泰樹)