同時発売のアルバム『スーツ』（原題『Suit』）は、ネリーのもっとも完熟して垢抜けたところを見せ、『Sweat』（邦題『スウェット』）は「Hot in Herre」（「ホット・イン・ヒア」）の好きなファンをまっすぐねらっている。これは当然のことだ。「Hot in Herre」はカラオケにまでなったヒット曲なのである。ネリー自身の過去の曲の既存の音素材やドラムブレークを生半可に加えただけの「Na-Nana-Na」は、彼のすごさを思い起こさせるだけで、時間を無駄にしている。ザ・ネプチューン制作の「Flap Your Wings」（邦題「フラップ・ユア・ウィングス」）は、踊りといっしょの「drop down and get your eagle on, girl」という、すぐ口ずさみたくなるチャントで、ネリーを再びクラブラップの王者にするだろう。クリスティーナ・アギレラの出来の悪い参加作品「Tilt Ya Head Back」（邦題「ティルト・ヤ・ヘッド・バック」）や、ダビーな「River Don't Runnn」（邦題「リヴァー・ドント・ラン」）には困惑させられるが、ラジオ放送用に遺伝子操作されているのかもしれない。試合を憎んで選手を憎まず。誰でもすぐわかるテレビ番組「NBA on NBC」のジョン・テッシュによるテーマ曲をヒップホップ系クラブ・ミュージックに手直ししようなんて神経を持っている者がほかにいるだろうか？（Dalton Higgins, Amazon.com）