どんな生き方をしたいのかをしっかり見つめることからキャリアプランをスタートさせるべきという著者の主張はオーソドックスだ。しかし、その視点と、企業が従業員に求める能力が変化しつつある現実の接点が、論理的に示されているのが本書の最大の特徴である。人生を楽しみながら自分自身のキャリアをデザインしていく人材こそが、まさに現在の企業社会で高い評価を得ていることが、繰り返し説かれている。
また、すべての前提となるモチベーション、エネルギーを得る方法についても、多くのページが割かれている。著者によれば、「できないこと」「失敗したこと」自体は悪いことではなく、むしろそれをよい方向への変化を起こす「気づき」にできるかどうかが重要なのだという。「何をやるか」より「誰とやるか」に成功のヒントがある、など、きわめて実践的なヒントも満載されており、若手社員の伸び悩みに直面している管理職読者にとっても参考になる部分は多い。(松田尚之)