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書斎の死体 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

価格: ¥798
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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マープルものではベスト・トリック ★★★★☆
ゴシントン・ホールの書斎で見知らぬ若い女性の死体が発見され、主人のバントリー大佐が醜聞に巻き込まれる。夫を救おうと夫人がマープルに事件解決を依頼するが...。

本書はマープルものの長編作品第二弾。前作『牧師館の殺人』に続いて、セント・メアリ・ミード村が舞台となっている。以後の作品で同村が舞台となる長編は、意外(?)なことに『鏡は横にひび割れて』だけ。

マープルものは、長編ではあまり見栄えのするトリックが用いられた作品はないが、その中で本書のトリックがもっとも切れ味が鋭いように思う。
論理構成もしっかりしており、手がかりさえ見落とさなければ、犯人を見出すことができるはず。(私は見落としてしまった)

ただし、富豪のコンウェイ・ジェファースン以外、犯人を含め凡庸なキャラクターばかりで、トリック以外まったく印象に残らない。
映像が先か、文学が先か ★★★★★
ミス マープル、ポアロのいずれも、映像化に成功していると思う。
そのため、映像を先に見る方がいいひとと、文庫を先に読んだ方がいい人がいる。
もし、文庫を少し読んでつまらないか、わかりにくいと思ったら、映像をぜひみてみてください。

書斎にあった死体が、いった誰か、なんのためにそこに死体があったのか。
死体が英語で単にBodyということを、はじめて知りました。
マープルものには珍しい、論理的な本格推理 ★★★☆☆
本書はミス・マープルが登場する長編作品第2作目である。

作品の内容は、ある日、バントリー大佐夫妻宅の書斎に見知らぬ女の死体が転がっていて、夫妻(おもに夫)が村中の疑惑に晒される一方、事件関係者の盗まれた車から、その前日から行方不明の女学生と思われる第2の死体が発見されるというもので、2つの事件の関連と犯人の目的、そして犯人は誰か、に焦点は絞られていく。そしてこれらの謎を、友人の窮地を救うべく解決に乗り出したミス・マープルが解き明かすというものである。

長年人間性を観察してきた経験により、研ぎ澄まされた直感を基に真相を探り当てるマープルは、謎解きも何もなくただ犯人を指摘し、事件はこうだったと説明するだけの作品が多いが、本書はそんなマープル作品にしては珍しく、謎解きの論理がしっかりした本格派向けの作品である。
構成はやや複雑ではあるが、謎を読み解く手がかりは随所に記されており、その手がかりを読み落としさえしなければ必ず犯人に行き着けるはずで、犯人がわかれば事件の全貌の8割は読み解けるように構成されている。

その中で、純粋推理だけではどうしても読み解けないのが女学生が殺された理由で、これだけはマープルの説明を待たなければならない。また、それだけのために犯人にはまったく無関係な他人を計画的に殺すものだろうかと、イマイチしっくりこない。

噂話やおしゃべりから謎を読み解く手がかりをつかむマープルの面目躍如たる作品だが、全体的には「小ぶり」というか、これはすごいと唸らせる程のものはなく、また読み物として見た場合も作者の作品としては平均的な面白さで、あえてお勧めする程のものではない。
どんな噂もすぐに村じゅうに流れますからね。 ★★★★★
 「あなたにきてもらって、犯人をみつけたり、謎を解いたりする手伝いをしてもらいたいの。」
 友達のバントリー婦人の依頼の電話があり、
ミス・マープルが「書斎で見つかった見知らぬ女性の死体」の謎解きを始めます。
 女性を殺害する動機、そしてアリバイ。
 セント・メアリー・ミード村の中であった過去の事件と照らし合わせて人物を区別していく方法や、女性ならではの視点で事件の真相に近づいていきます。

 警察の警部たちの捜査に多くのページが割かれていて、ミス・マープルの登場する場面はそんなに多くはありません。
 彼女が登場するたび、ちょっと気にかかるセリフをしゃべるのですが、それが最後の謎解きの場面で集約されていく様子が実にみごと。
 10年ぶりぐらいの再読ですが面白かったです。 
DNAとかなんとかとか ★★★★☆
いまからアガサの作品を読む方に、まず、お伝えしたいこと。

それは、時代の雰囲気を、たのしんで欲しい、ということ。

これは、きょうの日本ではなく、きのうの大英帝国であるということを、あじわって欲しい。

DNAとかなんとかとか、あじけないものが歩き回っていなかった時代のお話。この作品だけでは、ないけれど。

だれが犯人なのか、だれがどんなひとなのかを、純粋に、たのしんでください。