難しい本です。そもそも、経済学は人間の…
★★★☆☆
難しい本です。そもそも、経済学は人間の幸福、よりより生活の実現を目指して誕生したのに、なぜ現代アメリカ経済学のように「貨幣至上主義」「拝金教」のようなものができあがってしまったのか、「経済学」=「貨幣の動きを研究する学問」ではないはず、という問題意識がない方には理解不能な議論です。そういう論点もあるんだという前提と読んでいく必要があります。もっとも筆者の主張は近代個人主義社会が分解してしまった「孤独な個人」を自然を中心とした共同体社会に戻すことで人間性を回復しようというとことにあるので、そのための「誘導」のような読後感は残ります。それにしても日本ではほとんど無名の学者の主張までよく調べてある反面、最後に紹介される2人がマルクスとケインズというのはちょっとさびしい気がします。