確かに日本には守るべき国柄がある
★★★★★
新聞や雑誌に掲載されたエッセイ集のためか全般的にまとまりがないが、それぞれのエッセイは所々にちりばめられた作者独特のユーモアに満ちて面白く、全く飽きのこない本である。
2006年の発刊であるが、2008年の金融危機や今年の民主党への政権交代を予言しているかのようなエッセイもある。戦後60数年を経て、日本社会に積もり積もった歪を、少しでも是正していくためのヒントは過去にあり、先人の教えに学ぶことだ、と説いている。
氏の祖父母、父の新田次郎、母の藤原ていのことにも触れており、子どもの目から見た大人としての親の姿、氏の心の成長を描いた部分は興味深い。
湘南ダディは読みました。
★★☆☆☆
「いや、痛快痛快、先生のおっしゃる通り」という人もいればこんな軽薄な国家論がベストセラーになること自体が許せないという人もいて賛否の別れたベストセラー「国家の品格」をものした藤原先生の講演や他の発表作を集めたものです。生い立ちやご家族に関するエッセイも含まれていますので、おっしゃりたいことは「国家の品格」の方がストレートでしたが、日本人には武士道の悪いものは悪いのだという情理の伝統があり、これは世界に誇れるものであったのに戦後の占領政策によってすっかり骨抜きにされてしまい、経済発展至上主義に害され惻隠の情を忘れ、日本人はどこにいってしまったのかというのが大骨子となっています。あちらこちらにある逆説的な例証もニヤリとさせられたり、先生そこまでいってもいいのというところもあります。 それはともかく「国家の品格」を読んでも私が痛く同感しましたのは、小学校から英語を習わせることで国際人を養成できるという過誤にはっきりと反対し、それよりも国語、さらに言えばもっと本を読まにゃあかんとおっしゃっている点、これに大賛成です。
読書は深みや、翳り、落ち着きなどの人の味をかもし出してくれる、まあ人生の調味料のようなもの。それがなくても別にかまわないといえばその通りですが、やはり賞味があるほうがよろしいわけで。
いずれにしても1,2時間で読める本ですのでそれぞれの「日本人とは」を語るのにお読みになることをお勧めしますが、最初にいいましたように著作の品格としては「国家の品格」の方が上でしょう。
作者はオックスフォードで教えていたりしたこともある国際派の数学者であり、本書の冒頭で紹介されていますが父上は「富士山頂」というドキュメンタリータッチの名作の作者、新田次郎氏です。新田次郎さんは強い意志でことを貫いていく骨太の男性を描くことがお得意でその日本武士の矜持がご子息にうけつながれていると思いました。
けじめつけましょう。
★★★★★
面白かった。もっと堅苦しい書物なのかと思って読み出した前著「国家の品格」でしたが、あまりの痛快さに本書も購入。前著が講演の記録なのに対して、本書は改めて記述されたものなのであまり脱線もせずに(?)まとめられていました。藤原正彦という人柄も好きになってしまいましたので、著書を読んでいったり、彼が薦める本を読んでいこうかなと思いました。平凡な会社生活の中では「日経ビジネス」なんかを購読するよりはるかに為になったですわ。文書の巧さは親譲りか?はたまた数学者故の才能なのか羨ましい限りですね。
痛快なる代弁者
★★★★★
今の殺伐とした日本を憂いながら、淡々と日本人が本来持っている心根を蘇らせてくれる、まさに痛快なる代弁書である。
昨今の様々なメディアを通じて私たちの所に入ってくるニュースも、本書を読んでいればこそ、メディアに惑わされることなく客観的に様々なことを考えられるようになるもなる、不思議な一冊である。
エッセイ集ということもあって、週刊誌感覚で気軽に読めて、日本人の心を思い出させてくれるうれしいお薦めの一冊でもある。
エッセイ集です
★★★★☆
タイトルから想像すると
憂国の内容を思い浮かべますが、
前半の一部分がタイトルに相当します。
残りは、国語に関するエッセイや
家族に関するエッセイが続きます。
最後に書評の部分がまとめてあるのですが
作者の他の作家に対する分析が
他のエッセイ集にはなく斬新に感じました。