実践から生まれる理論
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保育者は一般的に専門学校や短期大学過程を修了した人物です。
4年生大学を出て幼稚園、保育園に就職する場合、現場では「学識じゃないのよ、実践、実践。」と多くの保育者の方から言われることでししょう。それはおそらく、子どもを「具体的」に見るという観点からでしょう。
この著書は我々が一般的に考えている「具体」「抽象」ではなくマルクスのいう「具体」「抽象」へと導くことからはじまります。著者が認知心理学のパイオニア的存在であるということもあって、「学ぶ」という人間の営みについても迫ることができ、理論と実践の関連性が明確に見えてきます。理論派は凡人たちは誰も私の言うことを分かってくれないと、難しい言葉で狭い世界に閉じこもり、一方、実践派の人々は理論で現実は変えられない、または理解できないと耳を傾けようとしません。私はこの両者の格差、意識差をどうすれば解消できるか常々考えながら「教育」というもの「人間」というものについて学んでいます。是非、幼児教育を中心とした人間の学びと育ちに関わる双方の多くの人に自らに欠落しているワンピースを探すための片道切符代わりに読んで頂きたい一冊です。