「学び」を探求する日本における認知心理学の第一人者である佐伯先生の書．日本の教育現場にあっては，とかく「教えてやる」という教える側の立場が優位になりがちであるが，教育の本質は，やはり学ぶ側が「わかる」ことである。この「わかる」ということを様々な事例や研究を引きながら簡易なことばで，しかし説得力のある筆致で書き上げた印象を持つ．個人的には，「学び」に関わる多くの人が，ある日突然立ち止まって「学ぶ」ってどういうことだったのだろう？と思ったときに自分の足跡と照らし合わせながら読んで欲しいと思う書物です．

「人間、これこそ学びつづけていくことのできる唯一の存在であり、この存在を否定することだけは、断じて許してはならない。」と述べる筆者。認知心理学者の第一人者でありつつわかりやすい筆致であり、初心者にも気軽に読めるだけでなく、「わかる」ということはどういう構造であるのかも、認知心理学の面から述べてある。教職に携わる方々、また、心理学を学ぶ学生の皆さん、ぜひ必読されてください。