プレスティッジには同楽器セッションが多いが、大半はトランペットとサックスをフィーチャーしたアルバム。本作はケニー・バレルとジミー・レイニー、2人のギタリストを起用している点がめずらしい。
   2本のギターのほか、ドナルド・バード、ジャッキー・マクリーン、マル・ウォルドロン、ダグ・ワトキンス、アート・テイラーが加わったセプテットによる演奏は迫力満点のハード・バップ。もちろんギタリスト2人のソロはフィーチャーされるが、ギター・アルバムという印象を与えないのは、同時にバードやマクリーンのソロもたっぷりフィーチャーしているから。同じギターでも、モダンでブルージーなバレルと知的でクールなレイニーという対照的なスタイルの組み合わせがおもしろい。スタンダード2曲以外は参加メンバーのオリジナルで、うち3曲はマル・ウォルドロンの曲。スタンダードの2曲は<4>がケニー・バレル＋3リズム、<7>はジミー・レイニー＋3リズムという具合に、個々にスポットライトをあてた演奏も含まれている。（市川正二）