本書の原題は「とても敏感な人が恋するとき」。人より鋭く細やかな(敏感な)神経を持ったHSPと呼ばれる人の「恋愛してみたいけれど勇気がない」気持ちを、さまざまに励まし、後押ししている。「敏感さ」は「繊細さ」でもある。また「鈍感さ」は「大らかさ」でもあると著者は説く。恋愛においては、互いの欠点を長所にしあえる関係、「気質」の合う人との出会いが重要なのだ。そのためには自分を知り、他人を知ることが肝要となる。本書は人口の15~20%を占めるHSPのための恋愛教科書なのだが、普通の人にも参考になる。
本書では、HSPに加えて、「刺激追求型」(HSS=high sensation seeking)という概念も紹介される。ただ「この本を鵜呑みにせずに自分にとって役に立つところだけを吸収するようにしてください」との著者の言に従い、学術用語に幻惑されずに本書を「参考書」として活用すべきだろう。恋愛はあくまで個人的な、理論化・一般化できないものなのだから。(濱 籟太)