やはり素晴らしい
★★★★★
歴史ベースのファンタジーを書かせたら絶品の荻原規子さん。この作品も素晴らしいです。
勾玉シリーズの流れを組んでいますね。
狭也と稚羽矢の子孫→小倶那 遠子と小倶那の子孫→阿高 苑上と阿高の子孫→草十郎 なのかなと思います。
鳥彦の子孫のカラスたちも出てきます。
けっこう天然おとぼけ美男子ヒーローが続いた三部作に比べて草十郎はわりと積極的で男らしかったです。
糸世の舞と草十郎の笛の共演シーンはただただ美しくて、情景が目の前に広がるようでした。
草十郎の一途な思いに胸がきゅんきゅん☆
★★★★★
久しぶりに荻原さんの作品を読みましたが、男の子の側から書かれている作品なので新鮮でした。
草十郎の糸世を一途に思い、あきらめない姿が胸がきゅん!となりっぱなしです。
鳥王カラスがまたかわいい…こんな相棒がいたら、と思ってしまいます。
糸世は荻原さんの作品らしく、気が強くてでも純粋で、素敵な女の子でした。
とても引き込まれあっという間に読み終わってしまいもったいないくらいでした。
日本史の星の時間を描いたサスペンスファンタジー
★★★★★
勾玉がなくても芸の力で奇跡は起こせる.まず登場人物 : 後白河院,平清盛,重盛,源義朝,義平,頼朝.時は1159年平治の乱の都落ち.武蔵の国の若武者兼笛の名人と美濃の国青墓の舞と今様の名人が惹き起こす奇跡の数々に巻き込まれる後白河院以下の面々.ところが余りの荒業に舞の娘が神隠しに会う.カラスの王の力を借りて国中探しまわる笛の名人の若者.結局神隠しの荒業を上回る危険な賭けに出るが... 読む方は余りのサスペンスにたまらず徹夜の羽目に.流石は国文学に強い作者,梁塵秘抄の歌の選択の(御口伝からまで取っている)見事なこと.そうしてこのような戦乱の世にあって作られた歌の強さ.これを集め抜いた後白河院の執念.真の主役は院かも知れない.なお p.340 に青墓を抜けて東海道を東に,とあるのは東山道を東ではないか ? なぜなら東山道が通る美濃の国府は青墓に隣接しているからである.但し,東海道に抜けるのは尾張に入れば簡単である.
「人間」がいます。
★★★★★
少なくとも空色勾玉を読んだ、鳥彦好きだったひと!
ファンタジーは子どもの読むものだと思い込んでいるひと!!
日本史嫌いなそこのあなた!!!
あなた方は今すぐ購入なさい。
好きだったものがますます好きになる。
ファンタジーが何ものなのか蒙を啓かれる。
嫌いなはずの日本史に、知った名前が出てくるだけでなんだかうれしくなる。
主人公が情けないとか、ヒロインが自己完結型とか。
人間だから、欠点があって当然じゃないか。
完全無欠がほしいなら、よそをあたったほうがいい。
助けてくれた人がいつまでも味方でもない。
それぞれ打算も計算もあって動いている。
「キャラクター」なんて、どこにもいない。
「人間」が、あがく話。
この歳になって
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何歳になったのかは置いときまして(笑)、久しぶりに「物語」で涙しました。「作り話」で泣くことは久しく無かったのですが…。つい涙したということは、知らず知らずに物語に頭の先まで心地よく浸かっていたからなんでしょうね。荻原さんの様々な作品は、単に話の筋をとんとんと語っていくのではなく、一人一人が魅力的で、心がつい震えるような場面が描写されているので、一度読んで話がわかればいいやーといった類いではなく、「見たら即買い。しかも何度も読む。一度本を開いてしまうと最後のページまで止められない」ものになっていますが、その中でもつい大人の自分が泣かされたこの作品は、更に舌を巻きました。