大人でも楽しめる良質の児童文学。
★★★★☆
私は西の魔女シリーズよりも、この一冊きりの「これは王国のかぎ」がすきです。
読みやすく、主人公を取り巻き広がる不思議な世界での冒険と恋愛劇。
小さいころに読んだ王道の「昔々〜」ファンタジーに、現代のスパイスを加え大人でも読めるように仕上げた作品。
つぎはどうなるの?とスラスラ読み進めてしまえます。
女の子がお姫様ではなくランプの魔人になってしまうあたりも面白くていいですね。
「あれ、わたしこんなこともできちゃうの?」と色々魔法を試すシーンは楽しかったです。
児童小説であるからにはもちろん本作も主人公の成長物語であり、現実の生活でひどく落ち込んでいた女の子が、作品の終わりのほうでツルッと一皮向け、さっぱり晴々した姿になる様子にはこちらも心が洗われる気持ちでした。
一人で読んでも、家族と読んでも楽しめる良質な児童文学。おススメです!
大人でも、心からワクワクできるファンタジーです
★★★★★
この年になってからファンタジーなんて不安だったけど面白かった。
王子様、お姫様、呪い、魔法・・・でも、子供の読むものと思っちゃいけません、大人でもワクワク楽しめます。
それぞれの責任や成長、そしてすべての元となる「かぎ」。
大人も深く感銘を受けつつ、アラビアンナイトの世界にどっぷり浸り、読んでいる間だけは現実を忘れさせてくれます。
きっと、どこにでもいるような普通の女の子が主人公なのがいいんだろうな。
平凡な私達にも夢を見させてくれる。
彼女は何もできないただの女の子なんかじゃなくて、実は芯のしっかりした度胸のある女の子なところがミソ。
多少の少女趣味チックな描写や表現はこの際許します。むしろ歓迎。
登場人物一人一人を見ても魅力的で、特にハールーンに恋をしてしまった読者は多いのでは(*^_^*)
夢を見させてくれて本当にありがとう。大好きな作品になりました。
でも、あまりに楽しすぎて、もう少し若い頃に出会えてたらなぁと思わずにはいられません。
かぎってなあに?
★★★★☆
始めは児童書で発売されて、ノベルス、そして文庫と、
大人に近いところにやってきた本です。
書いてるのは、空色勾玉で有名な荻原規子さん。
失恋をきっかけに自分がいやになって
不思議なアラビアンナイトの世界にきてしまう主人公。
人間ならぬ魔人族(ジン)として生きることを選んで
砂漠や海や王宮を舞台にした大冒険が始まります。
15歳の女の子の成長物語らしく、
自己嫌悪だったり現実逃避だったり、淡い恋があったり…。
「あたし」の一人称で語られる話し言葉の文章は
慣れないとむしろ読みにくく感じるひともいるかも。
でもけっして内容が薄いわけではないのです。
児童書で良く感じられることだけれど
難しい言葉で一生懸命説明されてもうまく伝わらないことを
ぽんっと易しい言葉で届けてしまう。
理屈をこえた真理のようなものを、すとんと納得させられてしまう。
そんな力があるのです。
理屈が大好きな大人こそ
たまにはこんな物語を読まないと・・・。
宝物
★★★★★
ひとにはそれぞれ不思議と惹かれるものがある。
本書がわたしにとってそれである。
この本で荻原規子という一生忘れられないひとを知った。
だれにでもすすめられる本ではないのはわかる。
中学生ぐらいが気軽によんで「あー、たのしかった」で終わる本でもある。
でも、本書がたまらなく好きである。
やさしい世界観、あいらしい表現、あたたかい人々。
この好きという気持ちを年をとっても変わらずに持ち続けていきたい。
あなたも魔神族に(なった気分に)なれます
★★★★☆
最初から予想を超えていた。目覚めた直後、チグリス河口での出現シーンが印象的。
文章が素朴ながら、スゥっと物語の世界へ引き込まれていった。一気読了。
ファンタジーだからといって、やたら難しい表現や説明をすればいいというのではない。
なぜなら、こんなにシンプルなのに、この本のように“風”を感じる作品は少ない。
あたし(ひろみ)の冒険譚、もうちょっと読んでいたかった。
単純に、面白かったと思う。
あなたも、魔人族<ジン>になってみませんか?