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翔ぶが如く〈1〉 (文春文庫)

価格: ¥610
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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司馬小説異色の傑作 ★★★★★
司馬小説の中ではこれが一番好きです。

・明治初年の士族反乱をテーマにして「体制を守る太政官」と「攻める不平士族」の対立が徹底的に鳥瞰的構図で描かれています。
「竜馬がゆく」や「坂の上の雲」のように明確な主人公は設定されていません。善玉悪玉論も特にありません。
個人の人生ではなく時代の雰囲気を読む小説であり、本当に多数の人物について長所、欠点の両方に光が当たっています。
その意味では間違いなく司馬文学の大傑作と思います。

・長い小説なので、連載から起こした司馬小説の名物である同じエピソードの繰り返しが目立ちます。
西郷、桐野、川路、山県など全編通しての中心人物について特に顕著です。
さらには同じ逸話を引用しても場面によって著者の解釈が全然変わっていたりします。
小説としての構成は良いとはいえません。

・士族反乱がテーマなので太政官側の事業(文明開化、産業振興)の部分は適当に端折られているか
反体制側の視点で書かれたりしています。そういう部分を期待して読むと失望するかもしれません。
司馬作品中級者以上向け ★★★★★
司馬作品をいきなりここから始める人はいないと思いますが、おおよその目安として、燃えよ剣→竜馬がゆく→坂の上の雲→翔ぶが如くの順で、写実的な書かれ方から著者の歴史観や考え方が色濃く反映される内容へとなっています。したがって幕末から明治期にかけての基礎知識がないと読破するのは厳しいかもしれません。

内容については他の方のレビューを参考にしていただくとして、本書は幕末、明治維新の集大成的な位置づけの作品ですので、これまで関連作品を読んでこられた方は区切りの作品として挑戦してみてはいかがでしょうか?
スロースタート ★★★★☆
 ちょっとスロースタート。

 大久保利通はほとんど出てきません。
明治初期〜創業期の苦悩・・・・・。 ★★★★☆
ペリー艦隊が浦賀に現れ、日本は「幕末」という革命の季節に入ります。
この物語は、薩摩の2人の巨人、西郷隆盛と大久保利通の関係を軸に
征韓論〜西南戦争までの明治初期の苦悩を描く作品です。

実はかつて10年ほど前に読みかけた事があったのですが、
途中で投げ出してしまいました。司馬先生の作品はどれもテンポもよく、
人物も事象もしみわたるように読めるのですが、不思議と本作は
「つっかかる」感じでした。

それほど、西郷、大久保そして「薩摩」を描くのは難しいのでしょう。
思えばこの藩は戦国の頃から、日本史の中で異彩を放っていました。
指導者は隙がなく、兵は騰がり、人心は床しいという・・・・。
完成された集団・・・「隼人の国」な訳です。

個人的には長州藩の後先を考えない、書生の熱気が一世を蓋ったそのありようや
松陰、晋作のようなやや青いところが大好きなのですが、
創業期の明治政府の亀鑑ともいうべき、西郷、大久保そして
薩摩閥を知らなくては・・・・の思いで、再度本作を手にした処です。

他の作品と違い、司馬先生も大久保、西郷には距離を感じられてるなあ
と思いつつ、初巻、西郷の憂鬱の描写に少なからず共感していました。
反面、怜悧な大久保利通は近代国家の枠組をしたたかに構想します。
まず、傑物ですね。大久保利通も。

次巻でいよいよ両巨頭、「征韓論」で激突します。


人物像の描写が面白かった。 ★★★★★
 一巻は明治政府になって外国の脅威にどのように対応していくかの2つの意見が形成されていく部分でありました。
 司馬氏の小説は人物像に関する描写が多くて、またこれが面白いです。そのため、読み進めて行く内に登場人物の
立場や思想が把握できてきて登場人物が多いけれど、明治政府の構造や西南戦争への経緯の道理が掴めます。
 ただ、司馬氏はよく「〜については先に述べた。」という言葉で説明の省略をするので、日本史に疎い自分としては
その度に読み返して大変でした。
 一巻はとくに外遊組(河路利良、大久保利通ら)の西欧視察での政府の方針が固まる様子が書かれています。
 また、国内では司法卿江藤新平、西郷隆盛、桐野利昭らが多く描かれています。
まとまりのない文章になりましたが、本はかなりよくまとまっており読みやすいです。辞書をたくさん引きました。
難しい言葉が多いです。