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シグルイ 1 (チャンピオンREDコミックス)

価格: ¥580
カテゴリ: コミック
ブランド: 秋田書店
Amazon.co.jpで確認
時代劇の枠に収まらない ★★★★★
あの山口貴由が描くのだから普通の時代劇になるはずもなく、独特の美意識に支配された世界観は完全に通常の時代劇とは一線を画している。物語はサディスト徳川忠直主催する“真剣”による御前試合で幕を開ける。本作の二人の主人公である、片腕の剣士藤木源之助と、目が見えず片足も動かない伊良子清玄が相対するシーンの美しさは凄絶。だがここで闘いは描かれずに物語は時を遡り、この二人が如何にして出会い、何故このような姿で相まみえる事になったのかという因縁が次巻以降描かれることになる。情念のこもった絵も本当に素晴らしく、ここ10年、あるいは15年で最も優れた時代劇の一つであることは間違いない。
文句無しの星五つ ★★★★★
ずっと前に、書店でシグルイを見かけた時は、「描いてんのって、板垣(刃牙)の元アシスタント?w」くらいにしか思わなかった。
ぶっちゃけ、地雷だと思ってさえいた。

しかし、とある動画サイトにアップされていた動画を拝見した時、無明逆流れの構えに衝撃を受け、この作品を買うことになった。
最初は、逆流れ見たさに、ただそれだけだったのだが、いつしか、ストーリーそのものに魅了されていく自分がいた。

きっかけは何だって良いと思う。
この素晴らしい作品に、一人でも多くの人に触れて頂きたい。

漫画好きを自負する自分、読んだ漫画は、千作品を悠にこえているはずだ。
間違いなく、シグルイはその中のトップ3に君臨し続けるだろう。
熱し、急激に冷ましても、折れるどころか、より美しく、鋭くなる。
俺の心の中に、そのままの姿で存在し続ける。
本当に刀のような漫画だ。 (実際の刀は手入れとか大変だろうけどね)
こんな寒い事書けるのも、シグルイのレビューだからである。

レビューと言うより、マンセーしていただけだが、最後に、過去の自分に一言。

「地雷と申したか」




ペキィ
剣客愛憎復讐劇 ★★★★★
表紙の褌一丁のマジイラストが買うのを躊躇う所以だったりしますが、

やはり南條範夫氏の原作から引用したと思われる一節が胸に突き刺さりますし、
山口貴由さんが原作を万人向けに上手く解釈し直したんでしょう
(と言っても、かなりエログロなので嫌う人も多いと思います)。

狂気にすら苛まれた父性の象徴のような岩本虎眼に始まり、男すら交わりを
持ちたがる容姿を利用しつつ目的を遂げる為には手段を選ばない魔性の存在の伊良子、
あくまでも義を重んじる寡黙で修道僧のような藤木、義理の母娘にあたりながら
父(虎眼)の門弟両名それぞれと行動を共にするいくと三重(の確執)といった、
いずれもが歪んだ過去と性癖を持つ者たちがそれぞれの道理に従い繰り広げる
剣客愛憎復讐劇が美しくもあります。

沢田研二と千葉真一が主演した、‘魔界転生’(山田風太郎作)を連想させるでしょうか?
非常にレベルが高いが描写が気持ち悪い ★★☆☆☆
話題になっているので購入したのですが、描写がえげつなく苦手な描写でした。
大変レベルの高い漫画だと思うのですが、読者を選ぶと思いこのようなレビューになります。
武士道の体現者の異才と無能、そして美 ★★★★☆
『覚悟のススメ』をかつて読んで以来の山口作品。
かわらずの残酷描写が要注意の物語。

ストーリーは他の方のレビューにすでに多くとりあげられているので、
説明は不要でしょう。私がここで紹介したいのは、登場人物の魅力に
ついてです。
タイトルのシグルイは「死に狂う」、葉隠れの「武士道とは死ぬこと
とみつけたり」の一節を知っていれば、まさにそういう意味です。
その点、主人公の藤木源之助は完璧です。「死に狂う」とは生き方に
対する覚悟です。常に死を念頭に置き、「生」に執着しないことで自ら
を曲げず、動物としての人間ではなく武士としての生き方です。この
「武士」としてのあり方が藤木源之助は完璧です。頭で考えて武士道
を貫くとかそういうレベルではありません。武士道が体に染み付いて
いる、まさに体現者なのです。
だから、
  侮辱される→武士としての誇りを守ろうとする→相手を斬り捨てる
ではなく、
  侮辱される→相手を斬り捨てる
という感じです。思考回路というものがほとんどなく、身体に刻み込
まれた己の幹というか軸にただ忠実に従いながら、「私」というもの
を捨てさり、ある種「無の境地」のなかで生きているのです。
いや、むしろ藤木源之助は武士道に生かされているのかもしれません。
こういう主人公のあり方は、覚悟のススメの主人公・葉隠覚悟にも共通
しているように思えます。
藤木源之助はカッコいいかと言われたら、わからない。
藤木源之助は美しいかと言われると、そうだ。