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不幸になりたがる人たち―自虐指向と破滅願望 (文春新書)

価格: ¥693
カテゴリ: 新書
ブランド: 文藝春秋
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なにコレ? ★☆☆☆☆
タイトルに惹かれて手にしたが・・・こいつはヒドい。エッセイ以前の代物。

著者は、大晦日の日に空いている電車内で、昨年の年賀状の仕分けをしている若いサラリーマンの男を見て「違和感」を覚えるのだそうだ。
で、「こういった行為を平気で行える感性を敷衍していけば、おそらく彼は、周囲の人々が顔を見合わせたり絶句してしまいそうなことを、平然としでかしそうな気がしてならない」から、「正直なところ、彼のような人とはあまり付き合いたくない。」

はぁ・・・そうですか・・・で、何ですか、これはあなたの個人的な倫理観でもって「キチガイ」さんたちを断罪していく本なのですか、と問うと、著者はこう答える。

「わたしが話題にしたいのはファナティックな道徳論ではない。世の中には、まぎれもなく風変わりで奇異な人物たちが存在するけれども、人によってはその脱線ぶりに気づかなかったり「あれもまた個性のうちだなあ」と肯定的に判断する。それでそのまま仲良く共存していけるのならば問題ない。ところが、世間にはしばらく付き合ううちに次第に迷惑ぶりや自己中心性、押しつけがましさといったものを露骨に示しはじめてくる人たちがいる。出会った最初は、そんなとんでもない人物ではなかった筈なのに、いつしか頭痛の種となっているような人物が存在する。
そうして人々との最初の出会いを思い起こしてみると、どこか微妙な不協和音を感じていたのだけれどあえてそれに目をつぶっていたというケースがほとんどなのではないだろうか。そのような伏線があるから、徐々に相手が厄介な人物としての素顔を見せはじめたとき、そのことに戸惑ういっぽう「ああ、やっぱり」といった納得を心の奥底で感じている場合が実は大部分ではないのか。我々の直感というものは、予想以上に正しい方角を指し示しているものなのである。」
で、その後、個別の「症例」紹介に移る。
???
著者は論理ってものを理解しているのだろうか?
あと、一度言葉で否定しちゃえばそれでオッケーだと思ってない? 「道徳論ではない」って書いたあと「直感というものは、予想以上に正しい」って、矛盾そのものなんですけど。

この文を読んでもイライラしない、心と時間に余裕のある方にはオススメです。
読後感は悪くない。読中感は度々悪くなることがアル。 ★★★★★
最初は、奇異な患者の例、事件の例を並び挙げ、それにただ不快感、違和感を並び立てるだけの、それでは精神科医などよくやってられるなあと思うような記述が目立ってしまうのだが、ではどこに著者がこの本を書く意図、動機があったのかと読み進めていくと、最後に著者の違和感の正体が見えてくる。それは著者の著者自身に対する違和感であり、奇矯な事件の登場人物に対して度々最後に語られる「そこに自分にも通底するものがあると感じて不安になる」という言葉に現れる。それは、精神科医という立場での、自己保身的なエクスキューズではなく、著者の主張が、不幸な行為を選び取る(あるいは無意識に突き進んでしまう)ことは、実は決定的なダメージを回避するためのオルタナティブな選択肢であるという論文の主張に賛同していることからわかる。そこで少しばかりのカタルシスが得られる、最後の最後まで読み進み、この主張が聞けるまで、ちょっとした精神鍛錬が必要な本である。おもしろかった。
自己顕示欲 ★☆☆☆☆
本職でありながら、ヘンケンに満ちた記述。論の進め方は乱暴で、よくよく読めば、自分がいかにすごいかを語りたいだけの記述も多い。ただ一つわかったことは、これだけ内容が薄い本で心の病について下手にわかった気になってはいけないなってことだけ。
すんなり読めました。 ★★★☆☆
タイトルと、著者が精神科医とのことで難しい内容を想像していましたが、素人の私にもすんなり読めました。
例が多くあり、学術的に読みたい方にはあまりお勧めしませんが、学術的にどうこうというものが関係ない人には、すんなり読めてお勧めです。
紙一重のアヤうさ ★★★★☆
何かひっかかる。そういう違和感が、存外に無視できないものであることに、まったく賛同する。腰砕けのような脱力感についての記述に苦笑しながら、するすると読んだ。

結末部に、人生を乗り切っていくために人がとりがちの方策が三つまとめられている。これは、単純に、楽しさや嬉しさ、幸せや喜びを、志向しているようには見えない人をわかりやすくする手がかりになるだろう。
が、同時に、著者の言うとおり、索強付会するとあやしげになることから、わかりにくいままに据え置かねばならないことが、これまた後味の悪さになっているのだろうか。
人格障害の概念がどのように成り立ってきたのか、この概念は一体なんであるのか、戸惑っている人や、また、他者に困らさせられている経験をしている人などに、有益な一書ではないかと思う。

私には面白かったのだが、途中、グロテスクで気持ち悪かったので、星は4つまで。